国際コンテナ戦略港湾 後編

日本の取り組み

「3本の柱」に基づいて、現在日本が行っている取り組みをいくつか紹介します。

 

1.「集貨」

①     世界第5位のコンテナ取扱実績がある

韓国の釜山港でトランシップをする場合に、

いくつかの日本の港湾管理者がインセンティブを行っているので、

それを止めるように港湾管理者に要請しました。

②     平成26年度には、北米や欧州へ輸送される

貨物を集貨するための経費の一部として13.8億円の予算が

港湾運営会社に補助されました。

 

2.「創貨」

物流施設に流通加工機能を整備する民間事業者に対して

無利子で必要資金を貸し付ける制度を作りました。

 

3.「競争力強化」

①     コンテナターミナルを高規格にするべく整備を進めるために、

平成26年度には約429億円の予算を取りました。

②     東京港でのバン・シャーシープールなどの土地を確保するために

大井ふ頭で埋立工事を実施して約21ヘクタールを造成中です。

 

この柱の中身を見てみると、日本の方向性が定まっていないようにも感じられます。

 

たとえば、政府として国際コンテナ戦略港湾を唱え、

かつ相当額の税金を投入しているにもかかわらず、

地方港の港湾管理者のなかには、船が韓国のハブ港へ行くと知りながら、

その港から出る船に貨物を積載した輸出者に

インセンティブという名の税金を支払っている者がいます。

 

これは、政府の考えに逆行していると同時に

他国に税金を投入しているのと同じことです。

その要因は、政府の考えが地方に浸透していない、

もしくは、地方が政府を当てにしていない、

または、政府が行っていることを実体のない箱物行政だと思っている、

ということかも知れません。

 

政府は、各国に流れてしまったコンテナが

日本に戻ってくるようにこれらの施策を行っています。

どれも重要なことではありますが、本来の問題事項であった、

夜間や休日の荷役、そして、コスト削減が

取り組みに入っていないのが疑問に思われます。

 

もしかしたらそれらも包含されているのかもしれませんが、

はっきりとした文言はないのです。

そもそもの問題点を解明し原因を追究しそれを潰す施策をすることで、

はじめて投入する税金が活きてくることでしょう。

 

貿易コンサルタント 木村 徹