日本の将来が書かれている 「USTR」の「NTEレポート」 後編

- 前回からの続き -

 

(3) 小麦輸入制度

レポート:「日本では小麦は農林水産省を通じて輸入され、日本の製粉会社に

      対して輸入額より相当に高く売り渡されている。

      この高価格が日本における小麦製品の価格を引き上げ、

      ひいては小麦の消費を減退させている。2007年、

      農林水産省は国際価格の変動を踏まえて小麦の売渡し価格について

      頻繁な調整ができるよう小麦輸入制度を改定したが、

      米国政府は、引き続き日本の小麦の国家貿易の運用と

      それによって貿易を歪曲する可能性を懸念している。」

 

(4) 水産品

レポート:「米国の魚介類の輸出量の14%は日本向けであり、2012年の輸出額

      765(百万)米ドルであった。これは輸出先としては第4位である。

      日本の輸入水産品に対する関税は一般的に低いが、複数の産品に対する

      関税が米国輸出の障害となっている。また市場アクセス問題も残る。

      例えば、日本はスケトウダラ、マダラ、シロガネダラ、サバ、イワシ、

      イカ及び二シンに輸入割当を維持。さらに、タラ、タラコ及びスリミにも

      輸入割当を維持。日本の輸入割当制度行政は著しく改善しているが、

      米国産魚類及び水産物輸出への障壁は引き続き軽減されることが

      期待されている。」

 

(5) 牛肉、かんきつ類、乳製品、加工食品への高関税

レポート:「日本は、赤肉、かんきつ類、ワイン、乳製品及びあらゆる加工食品を含

      米国にとって重要な複数の食品に高関税を維持。これらの高関税は、

      一般的に日本で国内生産がある食品にかけられている。

      これら高関税品目の関税を削減することが米国政府の優先事項である。」

コメント:

これらの品目の多くは、米や小麦と同様に日本におけるセンシティブ品目です。

米国の優先事項がこれらの関税率の削減であるということは、

TPPにおいて厳しい交渉がもたれたことから皆さんよく知っていることでしょう。

ちなみに、TPPでは牛肉の輸入関税率が38.5%から9%に。

乳製品では、脱脂粉乳が2万4102トン、バターが4万5898トンに

TPP枠が設けられたことで、日本の畜産業界が深刻な状況に陥っています。

 

(6)税関問題

NTEレポートには次のように書かれています。

A. 米国政府は日本に、税関手続きを改善し、より迅速で、より低コストの解決策

  を見出すための様々な取組を行うことを求め続ける。

B. 米国政府は従来、日本が関税法に基づく免税輸入限度額を1万円からより

  高い水準へ引き上げることを求めてきた。

C. 日本の事前教示制度のシステムの強化も米国の輸出者にとって透明性及び

  予見可能性を向上させるであろう。

D. 通関手続き及び通関時間に関しては、例えば、輸出入・港湾関連情報処理

  システム(NACCS)のすべての利用者が、申告のための通関事務所を選択で

  きるようにすることでさらに円滑化されるであろう。

E. 航空急送貨物の検疫を到着空港ではなく保税倉庫で行うことや特定貨物の

  事後輸出申告を認めることにより、さらなる円滑化が見込まれるだろう。

コメント:

これらの多くは既に実施されています。

 

注:2017年1月23日、米国は大統領令によってTPP脱退を正式に表明したため、

  ここに記載したTPPの内容は履行されないことを付記いたします。

 

参考:日本の将来が書かれている「USTR」の「NTEレポート」 前編