「ブレグジット」と「TPP」で、英国との貿易取引が活発になるか?

 新年早々興味深い話題が新聞に掲載されました。

 英国がTPP11への参加を検討しているという記事です。

 

 TPPはTrans Pacific Partnershipの略であり、日本語では『環太平洋パートナーシップ』です。英国は欧州の一部であり大西洋と北海に面した国です。太平洋とは違うのではないかなと思うのですが・・・

 

 ブレグジット(Brexit)と言われている、英国のEU(欧州連合)からの離脱が2019年3月と目前に迫っています。しかし、英国は、離脱までにEUとFTAの締結ができないだろうと言われていることから、取り敢えずTPPに参加することで貿易への影響を少しでも抑えようとしているのでしょう。

 

 TPPには、オーストラリアとニュージーランドが参加しています。両国の国旗の中には英国国旗があります。また、両国の元首は英国の女王であるエリザベス二世です。このようなことからも、両国は英国のTPP参加を好意的に受け止め後押しすることでしょう。

 日本-英国の貿易取引では、日本からの輸出の約25%は自動車と自動車部品です。そして、英国からの輸入の16%は自動車です。しかし、英国が参加したところでTPP参加11カ国への影響は微々たるものです。

 

 日欧EPAでは、EUでの自動車の輸入関税率は発効から7年かけて段階的に削減し8年目に撤廃(無税)するとなっています。一方、現在の英国での日本車の輸入関税は10%です。

 TPPでの日本と英国の立ち位置を考えると、日本が英国を仲間に入れてあげるという優位な立場にいるため、英国としてはTPP11に入るために、日欧EPAよりも良い条件を日本に提示するのではないかと考えられ、当初から関税率が0%、若しくは、0%に近い率になることもありえます。

 日本の自動車業界には追い風の情報です。

 

 ちなみに、英国からの一般消費財の輸入にどのような物があるか調べたところ、輸入額の大きい物に、『ウイスキー』、『医薬品』、『自動車』、『コンタクトレンズ』などがありましたが、どれも現在の輸入関税率は0%です。つまり、一般消費者へのメリットは小さそうです。

 

 同じFTA関連のニュースを少しだけ。

 今まで一部であったASEAN内の関税が、2018年に完全に無税になります。これによって、ASEAN内での原材料や製品の移動が今まで以上に活発になるでしょう。