EC物流の問題は “配送” だけじゃない

 

ちょっと気になって調べてみました。

このグラフは何を表したものか分かりますでしょうか。

 ※ 経済産業省資料

 

 これは、経済産業省が公表している「日本のBtoC-EC市場規模の推移」のグラフです。

 単位は億円なので、2016年は15兆円超の商品がネット販売されているということになります。これはBtoCだけの数字なのでCtoCも見てみると、ネットオークションの市場規模はCtoCだけで3,458億円、フリマアプリ市場規模は3,052億円に成長しているそうです。これらを足すと1年間で約16兆円分の貨物がEC市場等で移動していることになります。

 

 今度は、宅配貨物が1年間で何個取り扱われているかを調べてみました。

 なんと40億個です。

            ※ 国土交通省資料

 

 ちょうど1年前に、ヤマト運輸が、今の運賃ではやっていけないから値上げをすると発表し、その他の宅配会社や運送会社がこぞってそれに追随する動きがありました。

 トラックドライバーの給与は低い水準で推移しているので、値上げ分がドライバーに還元されるのであれば、とても良い動きだと思いました。

 

 しかし今回は、そのような運送の話ではありません。

 

 あまり大きく報道されていませんが、次に来るEC市場の問題は「紙」であろうと考えています。既に段ボールは値上がりしてきていますが、今後、今以上の大幅値上げの波が来るでしょう。これは、EC市場が成り立たなくなるくらいの問題になると思います。

 

 例えば、段ボールの主原料である古紙に目を向けてみると、価格が高騰しています。なんと、雑誌の古紙は5年前より50%も値上がりしているのです。この傾向は今後も続くでしょう。

 

 中国も同じ問題に直面しています。三菱東京UFJ銀行(中国)有限公司が発表した資料によると、2016年の中国のEC市場規模は400兆円でした。これは日本の25倍の規模です。中国全土の14億人がEC市場から商品を購入したら、どれだけの規模になるのでしょうか。

 実際、中国では、11月11日の独身の日に段ボールがないから配送が出来ないという問題が発生したそうです。