ミャンマーの賃金は本当に安いのか

 先日、各国の賃金事情を調べる依頼がありましたので、その一部の基本事項のみを抜粋しました。

 

アジア・オセアニアの賃金事情

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  • 一般工の賃金
  • 三菱東京UFJ銀行資料から抜粋(2017年5月現在)

 

 意外と言っては失礼ですが、オーストラリアの賃金が日本の1.5倍というのは驚きました。3年ほど前のことですが、オーストラリアの方に、ブリスベン市内の駐車場代は1時間当たりUSD20ほどすると言われましたが、賃金が日本の1.5倍であれば、それもありなのかなと今回妙に納得しました。ちなみに、私が初めてオーストラリアに行ったのは1990年ですが、その際現地の日本人から、オーストラリアの労働者は5人いたら、3人はおしゃべりをしていて、1人はさぼっていて、働いているのは1人だけだと言われ、実際にそのような現場を見たので、今でもそのイメージがあります。しかし、賃金が高いということは仕事の効率が良いということでしょうか。

 アジアの国々に目を向けてみると、表の数値は恐らく想定内でしょう。中国の人件費上昇に伴い、日系企業が工場を東南アジアに移転するという話をよく聞きます。バングラディシュの賃金は中国の2割ほどであり、日本のわずか4%ほどです。つまり、日本で1人雇用するところを、中国だと5人、バングラディシュであれば25人も雇うことが出来るのです。

 ほとんどの人がそういったイメージを既に持っていたと思いますが、その根拠を明確に説明できなかったのではないでしょうか。数字にすることで、労働集約型の産業が工場を移転する理由が良く分かりますね。

 お隣の国、韓国では最低賃金は2018年1月に16.4%引き上げられ、時給約750円になりました。現政権は最低賃金1万ウォンを公約にしていることから時給1000円になるのも近いことでしょう。

 また、現在発展を続けているミャンマーの最低賃金は33%引き上げられて日額4800チャット(約380円)になることが決定し、今後内閣での決議を経て施行されます。

 では、日本の最低賃金(時給)はいくらかというと、最高額は東京の958円であり、最低額は高知、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄の737円と大きな幅があります。東京と沖縄の賃金差は、日本国内にも関わらず23%もあるのです。これは、日本と韓国の差と同じくらいです。

 この数字を基に月給換算してみると、1日8時間、月間22日働いた場合、東京の月給は168,000円になりますが、沖縄他の月給は130,000円と差は約4万円になります。しかし、東京の住宅価格は著しく高いため、可処分所得は沖縄よりも東京の方が低くなるかもしれません。