やっとTPP(CPTPP)が発効される

本年12月30日に、TPP(CPTPP)が発効されます。

 

少し前になりますが、2017年1月はTPPをめぐりいろいろなことがありました。

まずは、日本がTPP協定を締結したこと、そして、トランプ米国大統領がTPPの締約国となる意思のないことをTPP署名国に通知したことが挙げられます。それから約2年を経過し、ようやく発効されることが決まりました。

 

TPP11は俗称である

米国が抜ける前のTPPのことは、単にTPPあるいはTPP12と呼んで、現在のTPPと区別しています。では、現在のTPPのことはというと、新聞やテレビではTPP11協定と呼んでいますが、本来はCPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)と言います。

 

CPTPPへの新規参加国

現在、英国、タイ、韓国等がCPTPPの仲間に入りたいと言っています。これらの国が参加した場合、TPP12、13、14と名前が変わっていくのは奇異であるため、CPTPPという名前で覚えておいた方が良いでしょう。

 

物流・貿易研究所では、2014年からTPPやEPAについてメルマガを書いてきました。2014年当時は新聞やテレビで取り上げられる機会が少なかったこともあり、時期尚早の感を拭えず、その内容をわかった方も非常に少なかったのですが、今の日本ではTPPの詳細は知らないとしても、その言葉を聞いたことがない人はほとんどいないでしょう。

 

CPTPPとは何か

ほとんどの人が、『何か分からないけど関税が安くなる』と思っているようです。これを少し訂正すると『関税率が低くなる』です。それはそれで間違いではないのですが、それだけではFTA(自由貿易協定)でしかありません。

詳しく説明するとCPTPPはEPA(経済連携協定)のことです。これはFTAに加え、『投資、人の移動、知的財産の保護や競争政策におけるルール作り、様々な分野での協力の要素等を含む幅広い経済関係の強化を目的とする協定』ということです。つまり、関税率が低くなるだけではないのです。

では、なぜ皆が『関税が安くなる』と思っているかというと、一般の消費者が直接享受することが出来るメリットがその点にあるからです。そしてそこを訴えるのがTPPについて説明するのに最も分かりやすいので、新聞やテレビでは、関税の部分を前面に押し出した報道をしているのでしょう。

でも、その他にも『電子商取引』『知的財産』、『中小企業』、『紛争解決』を含めた取り決めがあり、全部で30の章から構成されているのがCPTPPなのです。

 

どんな法律が改定されるのか

CPTPP発効に伴って国内法も改正されます。改正される法律の一部を以下に挙げます。法改正があったとは知らなかったでは済まされませんので、自分が関係する法律にはしっかりと目を通してください。特に、輸出入を行っている人は関税法関係を要チェックです。

  • 関税暫定措置法
  • 著作権法
  • 特許法
  • 商標法
  • 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律
  • 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律
  • 畜産物の価格安定に関する法律
  • 砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律