『日米物品貿易協定(TAG)』と『米日貿易協定』の違いはなにか

新聞やニュースでTAGという文字を見ない日はありません。

  • TAG vs USJTA

 TAGとはTrustworthy Accountability Groupの略であり『日米物品貿易協定』のことであると日本政府は説明しています。

 しかし米国の見解は違います。英語で言うとUnited States-Japan Trade AgreementでありUSJTAと言うそうです。ちなみに日本語では『米日貿易協定』と訳されます。

 日本と米国の間の協定であるため本来呼び方は同じであるべきですよね。にもかかわらず日本語だけではなく、英語でも違うというのは何故なのでしょう。

  • 日米共同声明

 外務省とホワイトハウスのホームページでは次のように両者の共同声明を公表しています。

https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000402972.pdf

https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000405449.pdf

https://www.whitehouse.gov/briefings-statements/joint-statement-united-states-japan/

 ここでは、“Joint Statement of the United States and Japan“としているのですから、それを使えばよいと思うのですが、両者共に敢えて違う言葉を使っているのが気になります。

  • 違いは?

 呼び方が異なる要因の一つに、この協定についての捉え方の違いがあるのではないかと考えました。

 まず、日本政府はTAGが実質的なFTAであると日本国民に説明しています。

 一方、米国政府は要求項目が22あると言っており、これはTPPの項目とほぼ同じです。FTAであれば22もの項目は必要ありませんから、米国の説明はUSJTAがFTAではなくEPAだということを示していると言えます。

  • as well as service

 共同声明を見てみるとas well as serviceという気になる言葉が目に付きます。

 実際、日本政府の日本語訳では『他の重要な分野(サービスを含む)で早期に結果を生じ得るものについても交渉を開始する』と記載しています。「サービスを含む」と明記しているということは「FTAではない」と言っているのと同じであり、政府の説明と矛盾します。どちらが正しいのでしょうか。

 因みに、英語が堪能な河野外務大臣は、「物品の協定の交渉である通関の問題とか、そういう問題については排除しない」と説明しています。

 この中の『そういう問題』というところが気になるのは私だけではないでしょう。

  • 韓国で何があったのか

 お隣の国、韓国は米国とFTAを締結していますが、2018年にその改定交渉がありました。

 その結果米国が韓国から輸入するピックアップトラックの関税率25%の撤廃が、20年延期されました。

 その他、韓国は米国の安全基準を満たした車を2.5万台/メーカー/年輸入することが可能となっていましたが、米国からの強い要請で改正後は5万台と2倍になりました。つまり輸入枠が拡大させられたのです。

  • これからの日本と米国の関係は

 あくまでも一般論ではありますが、韓国よりも日本の方が米国に従順であるように感じるので、日本政府が言っているFTAがどのように変化するのか気になります。

 FTAとEPAの違いは次のHPを参照してください。

http://logi-trading.com/archives/315

 長年、米国は日本に対して、日本の自動車の安全基準は米国車の基準と違う、これは非関税障壁であり、米国車を日本で販売する際に本来よりもコストが多く掛かっている。これが日本で米国車が売れない理由であると主張しています。日米物品貿易協定では、米国は日本に対して、韓国への主張と同じように米国の安全基準を満たした車がそのまま日本で走ることが出来るように、ということを強く要求してくるのではないかと思います。

 しかし、それによって日本で米国車が売れるものでしょうか。根本的な問題は違うところにあると私は思います。