TPPとセーフガード 前編

先週木曜日日本関税協会において物流セミナーの講師を務めさせていただき 約50名の方々が参加されました。

当たり前のことですが、居眠りする人もなく、また、質問する人も多数いて 参加されている方の意識が高いことを実感しました。

皆さん会社に戻って是非実践していただければと思います。

本日は2回目のセミナー『物流-中級編』を行います。

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最近、TPP交渉は硬直状態が続いているようですが、

その中でも「セーフガード」という言葉が、 どの新聞でも取り上げられています。

  • 日米協議は日本が農産物に課す関税の引き下げについて、牛・豚肉の関税や輸入制限措置(セーフガード)を巡って 交渉は難航している (日本経済新聞 6月17日)
  • 日米協議では、関税の引き下げ幅や引き下げにかける期間、輸入が急増した場合の緊急輸入制限措置(セーフガード) のあり方が主要な議題となっているもようだ。 (産経新聞 6月15日)
  • 焦点の牛肉や豚肉の関税に関連して輸入が急増した場合に関税を元の水準に引き上げる「セーフガード」の条件で調整が難航 (NHK 5月31日)

このように、TPPの交渉ではセーフガードが重要なキーワードになっているようですが、 セーフガードとは一体何なのでしょうか。

 

■セーフガードとは

セーフガードとは「緊急関税制度」の事であり、 一般セーフガードと特別セーフガードがあります。

一般セーフガードとは、特定の品目の輸入量が急増したことによって、 国内の産業が重大な損害を受けていると認められた場合で、

かつ、緊急の必要性がある場合に一定の要件を満たしていれば発動できるとされている関税制度であり、

簡単に発動することができないようになっています。

一方、特別セーフガードとは一部の農産品に適用されるものです。

輸入量が、決められた価格や数量を越えた場合に自動的に発動されます。

セーフガードが発動される要件とは次の通りです

1. 予想されなかった事情の変化により特定の種類の貨物の輸入増加があること

2. 当該貨物の輸入の増加が本邦の産業に重大な損害を与え、又は与えるおそれがあること

3. 重大な損害等が特定貨物の輸入増加によって引き起こされたという因果関係があること

4. 国民経済上緊急に必要があると認められること

 

一般セーフガード協定による措置がとられた輸出国は相手国に対して 報復措置をとることが認められています。

まさに、やられたらやり返す世界です。 めったに発動されることのないセーフガードですが、 過去には次のようなことがありました。

 

(つづく)

参考ページ
8月号2/2 TPPとセーフガード

 

この掲載文は、ロジスティクストレンド誌に連載している内容を転載しております。

http://www.logitrend.info/

 

貿易コンサルタント 木村徹