税関様式の簡素化

 昨年突然出てきた話の一つに、「押印廃止」があります。

 14,992の行政手続のうち、なんと14,909もの手続の押印が廃止されることになりました。率にしたら99.4%もの行政手続きが押印廃止になるということです。

 押印等を求める積極的意味合いが大きいもの以外は、押印は原則廃止という考えからで、押印が残るのは83の行政手続きのみです。

 

押印の合理性

 押印が必要かどうかの基準は次の考え方によるそうです。

  • 登記・登録印によらない押印

 ➡ 本人確認の手段としての効果は大きくないため基本的に廃止。

  • 登記印や登録印の押印を求めているもの

 ➡ 印鑑証明書の提出を求めていないため印鑑照合を行えない場合は押印を見直す。

  • 制度の趣旨から厳格な確認が必要と考えられる場合

 ➡ 印鑑証明まで提出を求めることも考えられる。

  • 印鑑証明書の提出を求めているもの

 ➡ 必要以上に求めている場合には、提出を見直すことが考えられる。

 

税関はどうなるのか

 「行政手続き」には、当然、税関手続きも含まれます。現在、税関様式は次のように分類されており、それらは「基本通達」に記載されています。また、税関のホームページからダウンロードすることもできます。相当昔の話ですが、私が横浜税関に通関士として登録していた頃、手元の税関様式が無くなると、東洋信号通信社さんに買いに行ったものです。

     関  係  法  様式番号
 1 関税法関係
 2 関税定率法関係
 3 関税暫定措置法関係
 4 とん税及び特別とん税法関係
 5 特例法関係 F、V、A、D
 6 通関業法関係
 7 内国消費税関係 CC
 8 その他

 

 この中で最も一般的な法律である関税法のC様式は全部で247種類ありますが、このうち172種類への押印が廃止されます。            (種類数は数え間違いがあるかもしれないので概数としてください)

 例えば、『事前教示に関する照会書』、『輸出申告撤回申出書』、『輸入貨物の評価(個別・包括)申告書』等がそれにあたります。

 その他では、Form-Aと呼ばれる『一般特恵制度原産地証明書』は、輸出者の署名がないものも受理されるようになりました。しかしながら、発給当局の印・署名は今まで通り必要です。

 

 これらは全て、令和3年1月1日までに施行されました。