本当に怖いISDS条項 後編

オバマ大統領が来日し、
安倍首相との会談でTPPが決まると思っていましたが
そうは簡単に行きませんでした。

それにしても、甘利大臣の活躍は相当なものです。
あの、米国USTRとの交渉に屈しなかったのは驚嘆に値します。

他人ごとではありませんが、
今後、TPPがどのようにまとまるか目が離せませんね。

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■ 訴訟 ■
法律の変更は国内問題なので、通常投資先国に訴えを起こしますが、
投資先国の裁判所はその国に有利な判決を下すのではないかという懸念があることや、
外交上の理由から取り上げてもらえないことが想定されるため、
ISDSでは、投資家が当該紛争に関して中立的な立場である「国際仲裁等」を通じて、
公平な判断を受けることができるようにされています。

海外の事例を挙げてみます。
カナダでは、燃料にガソリン添加物MMT(神経性有害物質)の使用を禁止していましたが、
アメリカの燃料メーカーが、この規制により不利益を被ったとして
ISDS条項に基づいてカナダ政府を訴え、3.5億ドルの損害賠償を要求しました。
そして、訴訟審査の結果、カナダ政府は敗訴し巨額の賠償金を払った上、
この規制を撤廃せざるを得なくなりました。

また、「メキシコのある自治体では、
アメリカの企業が有害物質の埋め立てを申請しましたが、
住民への危険を考えて許可を取り消しました。
すると、メキシコ政府はこの企業から訴えられ、これも敗訴。
巨額の賠償金を支払っています」
出典「考えてみよう! TPPのこと、TPPから日本の食と暮らし・いのちを守るネットワークHP」

このようなことから、訴訟慣れしていない日本にとっては
ISDSが不利であるという声があります。

デメリットばかりを書きましたが、メリットもあります。
日本の投資家が海外の国々で不利な扱いを受けないようにするためには、
ISDSは優位に働きます。

また、海外の投資家による日本への投資ハードルが低くなるため
海外からの投資を広く受けやすくなり、
日本が投資受け入れ国である場合、経済発展につながります。

参考ページ
3月号1/3 本当に怖いISDS条項
3月号2/3 本当に怖いISDS条項

この掲載文は、ロジスティクストレンド誌に連載している内容を転載しております。
http://www.logitrend.info/

 

貿易コンサルタント 木村徹