TPP参加の目的と意義 中編

■ TPP参加国と日本の取引
一方、TPPに参加している国に目を向けてみると、
日本との貿易取引額上位10ヶ国に入っているのは、
米国、オーストラリア、マレーシアの3ヶ国のみであり、
その合計貿易額割合は20.2%しかありません。

その他の8ヶ国はすべて11位以下に含まれています。

つまり、貿易取引額だけで考えると
日本がTPPに参加する意味は低いと言うことになるのです。

また、日本はTPP参加国の中で、
既にEPA(FTA)を締結している国が7ヶ国もあります。

これは、既に個別に関税協定を結んでいるという事であり、
関税撤廃を唱えているTPPに改めて参加する必要性は低いということです。

これらの状況を整理すると、
日本はTPP参加国12ヶ国の半数以上と既にEPAを締結していること、
またTPP参加の国々との貿易取引額比率は
決して高いものではないということが分かります。
■ TPPに参加する必要性
では、何故日本がTPPに参加するのかという疑問が生じてきます。

誰が見ても参加すべきであるのならば、
政治家や偉い先生方が喧々諤々の言い争いをすることはないでしょう。

また、同じ政党の中で賛成派と反対派に分かれることもありません。

つまり、TPPに参加しても参加しなくても半数は反対しているということです。

そうすると、参加すべきかどうかは国内世論の声よりも対外的な声が大きくなるものです。

TPPでは、日本が入ると入らないではその規模が大きく違うことから、
どうしても日本を参加させたいと思う米国の思惑が垣間見えます。

それが、日本が参加した大きな理由の一つと考えられます。

実際、米国の対外政策はルック・イーストからルック・ウエストに変化してきています。

つまり、EUよりもアジア重視ということです。
これからの貿易の伸び率を考えた場合アジア重視に傾くことは容易にうなずけます。

事実、米国はASEAN(東南アジア諸国連合)の加盟国ではないにも関わらず、
その会合に参加しています。

(つづく)

参考ページ
1月号1/3 TPP参加の目的と意義
1月号3/3 TPP参加の目的と意義

つづく

 

貿易コンサルタント 木村徹