TIR条約 前編

日本に輸入されるモノは基本的に全て税関に輸入申告し

輸入許可を得なければなりません。

また、輸出時には輸出申告し輸出許可を得なければならないのです。

しかし、海上コンテナはどうでしょうか。

通常の貨物輸送に使用するコンテナは、貨物と一緒に輸出入申告をしていません。

これは、法律で特別な規定が設けられているからです。

その法律とは、「コンテナに関する通関条約及び国際道路運送手帳による

担保の下で行なう貨物の国際運送に関する通関条約(TIR条約)の

実施に伴う関税法等の特例に関する法律」であり、

海上コンテナ(免税コンテナ※)の取り扱いと輸入時の関税及び

消費税の免除が特別に規定されています。

※免税コンテナ :コンテナに関する通関条約に基づき、

関税・消費税の免除を受けて一時輸入されたコンテナ。

 

平成24年4月1日に免税コンテナの税関手続方法が変わり、

コンテナラウンドユースを行うことができるようになりました。

3年も前のことを何故いまさら取り上げるのかと思われる方もいることでしょう。

それも含めて説明します。

 

平成26年11月の新聞に次のような記事がありました。

「経済産業省は、平成26年度次世代物流システム構築事業の一環として、

国内における海上コンテナ輸送の効率化に向けた

『コンテナラウンドユース推進協議会設立準備委員会』を開催します。

本委員会では、海上輸送に必要不可欠なコンテナを効率的に活用する

『コンテナラウンドユース』の取組を推進するべく議論を行い、

この取組を通じた物流分野のCO2排出量の削減と港湾地区における渋滞緩和を目指します。」

国土交通省でも同様の取り組みを行っています。

平成25年6月に閣議決定された「総合物流施策大綱」に盛り込まれているのです。

ここでは、「内陸地における空コンテナの陸上輸送の削減に取り組むことで、

輸出入企業が効率よくコンテナを利用(コンテナマッチング)することになり、

ひいては、空コンテナ輸送の削減につながり、

環境負荷の低減や物流コストの削減及び

ターミナル周辺での渋滞緩和に寄与する。」とされています。

TIR条約

 

これらの取り組みが

法施行後3年も経った今になって行われているのは、

コンテナラウンドユースの活用事例が

ほとんど無かったことに一因があるのでしょう。

では、コンテナラウンドユースを行うことで

どのようなメリットがあるのでしょうか。

 

 

〈 続く 〉

 

貿易コンサルタント 木村徹