B/Lの危機 後編

「SWBとサレンダーの違い」

SWBとB/Lをサレンダーすることは、ほぼ同じ機能であるため、

輸出者・輸入者のほぼ100%の人がこれらの違いを知らないでしょう。

また、発行している船会社やフォワーダーの担当者でさえも、

その違いを説明できる人は少ないと思います。

多くの方は、アジア域内では「サレンダー」を行い、

欧米との取引では「SWB」を使っているのではないかと思います。

相手国側でもそのような認識だからです。

欧州の人にサレンダーと言っても通じないことがあります。

 

一つ目の違い、それは、SWBは信用状統一規則(UCP600)に

その取扱いについての規定がありますが、サレンダーはその規定がないということです。

サレンダーされたB/LのコピーがL/Cに適用される場合がありますが、

そもそもB/Lのコピーであるため担保としての価値はありません。

よって銀行は、その他の担保を取っているか、何らかのメリットがある場合でしか了承しません。

 

二つ目の違い、それは、SWBはB/Lと同様に国内法が適用されることです。

また、CMI国際統一ルールにおいても標準的な運用が規定されており、

国連はSWBの利用を推奨しています。

反面、サレンダーは適用される国際的なルールがないため、

事故や紛争が発生した際、解決までに時間がかかることが想定されます。

最後になりましたが、SWB、サレンダー等を扱う船会社やフォワーダーは、

これらの書類を輸出者にe-mail若しくはFAXで送る場合があると思いますが、

是非裏面約款も同時に送付するようにしてください。

これを送っていないときに貨物事故や輸送上の問題が発生した場合、

輸出者に裏面約款を渡していないということで不利になる場合があるからです。

また、サレンダーの用法について平成20年3月の東京地方裁判所では

「これは国際海上物品運送法6条の船荷証券に当たらない」と判決しました。

これは、日本の裁判所はサレンダーの船荷証券性を否定したということです。

 

参照   : B/Lの危機 前編

 

貿易コンサルタント 木村徹