インコタームズの使い方がおかしい 後編

『インコタームズの規則』

インコタームズでは11種類の規則が決められています。

これらは、大きく2つに分類されます。

一つは、「すべての輸送方法で適用可能なもの」。

もう一つは、「水上輸送でのみ適用可能なもの」です。

Incoterms

 

『インコタームズはルールであり条約や法律ではない』ことから、

契約主体者である売主と買主が納得していれば

その使用に規制はありません。

そして納得した上でFCA、CPT、CIPを使わないのであれば

問題はないのです。

しかし、FCA、CPT、CIPを知らないから使っていないという人が

多くいるというのは問題だと言えます。

実際に、『インコタームズが変更されたなんて聞いたことがない』、

『今まで問題が発生したことがない』、

『聞いたことはあるが、それらが何であるか、何が違うのか知らない』、

『会社に変更することを進言したが上司が相手にしてくれなかった』

という声が上がっているのです。

 

『それではどんな違いがあるのか』

例えば、FOBの場合、買主側には船会社を決める権利があります。

そして、売主側には輸出地において

貨物が舷側を有効に通過するまでの危険負担が課せられています。

これは、昔も今も変わりません。

では、輸出地のCYでコンテナが落下して破損した時は

誰の責任になるのでしょうか?

この場合は、舷側を通過する前であるため売主の責任になります。

 

『しかし、おかしいと思いませんか?』

船会社を選定したのは買主です。

つまり、CYを決めたのも必然的に買主ということになります。

にもかかわらず、買主が決めた(指定した)CYで発生した事故の責任を

売主が取るということに疑問を感じませんか。

 

現在のコンテナ貨物の取引ではこういうことが起こりえるのです。

特に震災の時に大きな問題になりました。

コンテナ貨物の取引において、FOBに代わるFCAでは、

このような矛盾が解消されているのです。

 

『今一度、皆さんの会社で使われているインコタームズを

見直してみてはいかがでしょうか。』

どこから手を付けて良いか分からないという方もいると思います。

そのような方は「物流・貿易研究所」へ連絡をいただきましたら

皆様のお手伝いをいたします。

 

貿易コンサルタント 木村徹