日本で初めての開港「長崎港」 後編

日本初の税関

1854年(安政元年)に日米和親条約と日英和親条約が締結された後、

1859年(安政6年)に、長崎、神奈川、函館に設けられた

「運上所」が税関の前身です。

そこでは、輸出入貨物の監督や税金の徴収業務が行われていました。

 

しかし運上所が設置される以前も、

長崎ではオランダ船が出島沖に到着すると荷役作業が始まる前に、

船の出航地、乗組員の人数、積荷の検査などの

質的な税関業務が行われていたようです。

 

このようなことから、長崎港が税関業務発祥の地と言えます。

その後1872年(明治5年)11月28日に名称が「税関」と改められ、

税関が正式に発足しました。

長崎税関

 

 

 

 

 

 

資料:長崎税関HP

 

 

長崎税関管内での輸出入貨物

長崎税関の管轄地域は九州の西半分であり、

この中には15の開港と4つの国際空港があります。

この長崎税関での輸出入貨物の特徴としては、輸出総額では船の輸出が多く、

そして輸入総額では原油の輸入が多いということです。

 

輸出貨物として一番多い船は輸出総額の50%以上を占めています。

平成26年には合計78隻、2600億円もの船が輸出されています。

これは、三菱重工業株式会社の造船所があるからです。

筆者が4月に長崎に行った際にもLNG船が停泊していました。

 

輸入貨物の総額として原油が70%を占めているのは、

鹿児島県の喜入に東京ドームの40倍もの広さがある

世界最大級の石油基地があるからです。

 

変わったところではジャガイモの輸入があります。

基本的には米国からのジャガイモには害虫が付いているため

日本への輸入はできないのですが、

米国産のジャガイモであっても害虫が発生していない地域で生産されたもので、

かつ、国内で加熱加工処理(ポテトチップ加工用)されるものに限って

輸入されています。

 

これは、鹿児島県内の港で荷揚げされ検疫や通関が行われた後に、

鹿児島県内の工場まで輸送されています。

 

害虫が付いていないジャガイモであれば加熱加工に限る必要はないと思いますが、

政治的な思惑があるのかもしれません。

 

貿易コンサルタント 木村 徹