TPPと医療と保険 後編

TPP協定の締結は今年はダメなのでは?という模様ですが

EPAは着々と進んでおり、
今月8日には日本は豪州とのEPA協定に署名しました。
そして現在、モンゴルとのEPAが大筋合意という方向で進んでいます。
モンゴルとの関税撤廃率はお互いに9割ほどです。
ちなみに、モンゴルは初めてのEPA締結国が日本だそうです。

日本とTPPですが、
日本は、農業という守るべきものがあるので
TPPのような100%の関税撤廃は無理があるのではないかと思います。

その中で、日本がTPP協定に参加したのは
外堀を埋められてYESと言わざるを得なかったからではないのか?
というのが、私の考えです。

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■医療保険(生命保険等)
保険会社による保険には、第一・二・三分野という区分けがあります。

第一分野 : 年金保険や死亡保険など死亡に関する保険
第二分野 : 火災保険や自動車保険など偶然事故による保険
第三分野 : 医療保険、介護保険、がん保険などの疾病や傷害のための保険

第一分野は日系企業のシェアが高いのですが、
第三分野では外資系企業のシェアが高くなっています。

この理由の一つは、
日系企業によるがん保険市場への参入に制限があるからです。
実際、日本生命ではがん保険単体での販売はしていません。
また、第一生命とかんぽ生命ではアフラックのがん保険を販売しています。

報道によると、
かんぽ生命ではがん保険の販売を計画していましたが
政府による認可が凍結されたことで、
独自のがん保険販売をあきらめました。
その代わり、アフラックのがん保険を販売するようになったのです。
こうなった理由は、
米国のUSTRが「かんぽ生命や共済保険は
民間による対等な競争を阻害している」ということで、
脅威を感じて日本政府に圧力をかけたためと言われています。

米国のTPPの交渉窓口であるUSTRは、
政府により一定の保護を受けている
保険販売会社を非関税障壁と考えており、
これらを民間企業と同じ土俵に引き込むことで
外資系保険会社を
日本の保険販売市場に参入させようとしているのです。

自由主義の中での自由な競争ということでは良いとも思いますが、
日本の主権が脅かされていくようで複雑に感じます。

参考ページ
6月号1/2 TPPと医療と保険

この掲載文は、ロジスティクストレンド誌に連載している内容を転載しております。
http://www.logitrend.info/

 

貿易コンサルタント 木村徹