TPPが農業に与えるインパクト 中編

このように、現在の輸入関税率は
輸入自由化が行なわれた平成3年度の約半分になっているのです。
この間の牛肉の輸入量と国内生産量等を比較すると図のようになります。

ここで見るべき個所は、輸入量は増加しているが
(2000年前後で急減しているのはBSEの影響により輸入が減ったためです)、
国内生産量はほぼ横ばいであるということです。

つまり、生産量については輸入の脅威にさらされなかったと見て取れます。

しかしながら、それは見かけだけです。
なぜなら輸入関税額を基に肉用子牛等対策費というものが
飼養農家へ交付されているからです。

この費用には牛肉等の輸入関税額のほぼ全額が用いられています
(平成20年度、牛肉等の輸入関税額は869億円、肉用子牛等対策費は760億円)

これがあったからこそ、畜産農家は淘汰されずに済んだと言えます。

TPPで関税が全廃された場合、この対策費の原資が無くなってしまうため
対策費が支給されなくなるか、もしくは国庫から捻出されるかもしれません。

畜産農家が対策費ゼロに備えるための解決策の一つは、海外に販路を求めることです。

そこで国際市場に目を向けてみると、
海外の富裕層には神戸牛等の日本産のブランド牛や、ヘルシーな赤身肉が好評です。
他社に先んじて、この分野の輸出を検討する方は是非筆者まで連絡してください。

(つづく)

参考ページ
2月号1/3 TPPが農業に与えるインパクト
2月号3/3 TPPが農業に与えるインパクト

この掲載文は、ロジスティクストレンド誌に連載している内容を転載しております。
http://www.logitrend.info/

 

貿易コンサルタント 木村徹