輸出貿易に関わる者にとって関係が深い条約と法律が改正されました。
これらは本年7月1日から発効されるので、今月号ではその内容について解説します。
SOLAS条約
聞き慣れないかもしれませんが、SOLAS条約とは
「海上人命安全条約」のことです。
日本の法律では「特殊貨物船舶運送規則」と
「危険物船舶運送及び貯蔵規則」にあたり、
条約改正に合わせてこれらの法律も改正されます。
この条約では、荷送人が海上輸出コンテナの総重量を
船長に報告することを義務づけていますが、
その義務を強化しようというのが今回の改正内容です。
現在、船荷証券(B/L)上には荷主が申告した総重量が記載されていますが、
コンテナ船上で誤申告が原因と思われる荷崩れ事故が発生したため、
そのような事故が起きるのを防ぐために強化されるのです。
近年、20フィートコンテナを20,000本も積載することができる
大型のコンテナ船が登場しているため、
一度の事故による損害が今まで以上に甚大なものになる恐れがあるからです。
これは条約ですから日本だけの問題ではありません。
ですから、本年7月1日以降、重量の確認を確実に行っていない場合、
輸入国において入港を拒否されることにもなりかねません。
改正内容 | |
1 | 荷送人は、次の2通り伊①②の方法で総重量を証明する
①調整若しくは証明済みの装置を用いて 海上輸出コンテナの重量を計測 ②国が承認した方法により、海上輸出コンテナの自重、 貨物と梱包材の重量を合計する |
2 | 荷送人は、決められた方法で計測されたコンテナ総重量が 船積書類へ記載されていることを確認する |
3 | 荷送人からコンテナ総重量の情報提供がなく、船長等がコンテナ総重量を入手していない場合は、当該コンテナの船積を禁止する |
貿易アドバイザー 木村 徹