税関の事後調査の実態 前編

昨年から急に増えてきた問い合わせがあります。

それは「税関による事後調査対応と対策」です。

 

ある日突然、税関から事後調査を行うという通知があり、慌ててネットで調べて『物流・貿易研究所』へ問合わせをしてくるというのが多いパターンです。

それは、このような相談をできるところがほとんどないからでしょう。

彼らの多くは、悪いことをしているつもりがないのにも関わらず、いきなり税関から調査を行うという連絡が来たため、動転したようです。

 

貨物を輸入する際には、税関に関税と輸入消費税を納付しなければなりませんから、税務署と同様に税関が好きだという人はあまりいないでしょう。

税務署から突然連絡が来て、お宅へ出向いて調査をすると言われれば、何も悪いことをしているつもりがない人は『大きなミスがあったのか?』と危惧するでしょうし、悪いことをしている人は『脱税が見つかったのか?』と考えることでしょう。それと同じことです。

 

当研究所へ突然連絡してくる方の多くはネット通販事業を行っている方々であり、アパレル品やIT関連機器を取り扱っている方が多いという傾向にあります。

 

それらの方々が決まって最初に言うのは次の言葉です。

1.         なぜ税関が当社に来るのですか?

2.         何か問題があったのでしょうか?

3.         何をすればよいのですか?

4.         税関にいくら払わなければならないのでしょうか?

5.         どのような罰則があるのですか?

 

その次の言葉も決まっています。

1.         当社は何も悪いことはしていません。

2.         追徴がかからないようにしてください。

 

連絡をしてくる方は気が動転しているということもあるのでしょう。

いきなり、矢継ぎ早にこれらの質問をしてきます。

しかしこちらとしても、何を扱っているのか、どのように輸入しているのかなどの情報なしに返答することはできません。そこで、まずは状況と、扱っている商材、輸送方法、輸入件数などをお聞きします。

 

そのうえで、何をすべきかをお伝えし、次の段階で書類を見て対策を立てます。

同時に、『法律に違反していなければ追徴されることはありません。』と返答します。

 

しかし、8割の人は、悪いことをしていないつもりであっても法律に違反しています。

そして、残りの2割は自分が悪いことを行っているという意識があり、実際に話を聞いてみると、故意に法律に違反していることが明らかでした。

 

悪いと分かっている人は兎も角、悪いことをしているつもりがない人は、法律を知らないために知らず知らずのうちに違反していたのです。

 

つづく