木村さん、『通関士の自宅勤務って知っていますか?』
と先日、お客様に言われました。
通関業法基本通達の改正については当然知っていたのですが、
この部分はなぜか読み飛ばしていたようで、
早速、改正文と、送っていただいた日経新聞の記事を読みました。
基本通達には、次のような規定が新設されていました。
「通関業者の通関業務に従事する通関士その他の通関業務従業者が情報通信機器を活用して、労働時間の全部又は一部において、自宅で業務に従事する勤務形態(在宅勤務)を導入する場合においては、当該勤務場所(自宅)を当該従業者の所属する営業所の一部とみなすものとし、法第8条「営業所の新設」又は第9条「営業区域の制限」に規定する手続は要しない。」
ちなみに、通関業者は在宅勤務を行う際に「在宅勤務についての定めのある就業規則及び書類管理、情報セキュリティー等について定めのある社内管理規則等を具備していなければならない」とされており、該当する通関士や従業者の氏名、住所などを税関に申し出なければならないそうです。
ここで、問題なのが情報セキュリティー対策です。
どこまでやらなければならないのでしょうか。
宇う監視通関業務に、お客様のインボイスや契約書は必須です。
自宅でお客様の重要な情報が記載されたインボイスや契約書を扱うことは
会社の事務所で扱うのとは大きな違いがあります。
間違えて自宅のゴミ箱に捨ててしまったり、
古新聞と一緒にして捨ててしまったり、
ということは当然許されないことです。
在宅勤務について定めのある書類管理や情報セキュリティーは、
どのレベルまで必要なのかということが気になってしまいました。
税関の担当官も、どのレベルなら良いとするのか
悩むのではないかと思います。
例えば税関が申し出を受理した場合は、
セキュリティー対策が万全であるとお墨付きをしたことになります。
もしも、その通関士の自宅から書類が紛失した場合、
お墨付きをした税関の判断に
問題があったのではないかとなるかもしれません。
この基準がどのようなものであるか早く知りたいところです。
それでは、何故このような規定が新設されたのでしょうか?
推測ではありますが、
現政権が進めている『一億総活躍社会』が関係しているのでしょう。
それに加えて『働き方改革実現会議』では
長時間労働是正などが話し合われています。
危惧されるポイントを書きましたが、
私はこの新しい流れに大賛成です。
これからの世の中は更にネットが普及し、
働き方の多様化が推し進められていくことは間違いありません。
そのときのためにも、
この規定の新設は重要な意味があると思います。
どの通関業者が第1号になるのか楽しみです。