通関料金の不思議

通関料金の不思議

  通関料金は、輸入通関申告で1件当たり11,800円、輸出通関申告で1件当たり5,900円というように、上限額が決まっています。ちなみに5割までは割増ししてよい(※)となっているため、本当の上限額は輸入通関申告1件当たり17,700円、輸出通関申告は1件当たり8,850円ということになります。

通関料金には、上記以外にも「保税蔵置場蔵入申請料」とか、「外国貨物運送申告料」などの各種業務料金がありますが、ここでは最も一般的な「輸出・入通関申告料」について考えてみたいと思います。

 私が知っている範囲では少なくとも30年以上前から、どちらも料金は変わっていません。

 これについては、『30年も料金が変わっていないとは通関業者も大変だな』と考えるか、『現代は30年前と違い、NACCSやe-mailが当たり前になっているから、一件当たりのコストも下がっているだろうに、昔から料金が変わらないというのは税関共々けしからん』と思う向きもあるでしょう。

でも、通関業法で決まっているのは上限額です。つまり、これよりも安価であればよいと規定されているのです。これが下限額ということであれば、税関はけしからんという考えにうなずけますが、上限ということなので通関業者の企業努力で輸入通関であれば11,800円より安くなって当然とも考えられます。

 しかし、多くの申告件数を委託している場合でなければ、11,800円請求されるのが一般的です。

 そのうえ通関業法では、この費用には税関検査の立会費用も含むとされていますが、一般的に税関検査があった場合も、なかった場合も均一料金です。輸入通関が区分1で許可されれば、通関業者は税関検査の立会がなく、その分の時間を削減することができたのですから、本来ならば『税関検査がなかったから、いくらか値引きします』と言ってもおかしくないと思いますが、そのような気遣いをする通関業者を見たことはありません。

 また、通関業者に輸入通関を依頼すると、通関料の他に輸入取扱料が発生します。これは、通関業法で決まっているものではないので、各業者が任意に取り決めた料金が請求されます。仮に取扱料が1万円だった場合、最低で21,800円(11,800円+10,000円)の費用に加え、THC、D/O Fee、Doc Fee、コンテナドレイジ料なども発生しますから、コンテナ1本輸入するのに、少なくとも7万円はかかることでしょう。

 もうすぐ、この上限額が撤廃されます。これは、通関業者としてはうれしいことです。「輸入通関料・1件30,000円です」と言えるようになるのですから。

とはいえ、実情はいろいろあるようです。

あまり、言い過ぎるのも良くないので、文章ではこの辺にしておきましょう。

 

気になる方は、物流・貿易研究所までご連絡下さい。

 

※「割増してよい場合」とは、インボイスの記載品目が多いため、HSコードの特定に手間がかかるとか、課税価格の計算に特別の手数を要するとか、 税関の検査で特別の手数を要した場合などと決まっているため、いつでも割増してよいというわけではありません。

 

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