また今年も、海上運賃改定の時期がやってきました。
海上運賃は通常3ヶ月に一度改定されるのですが、基幹航路の一つである北米航路は、サービスコントラクト(SC)の見直しがこの時期に行われます。
昨年度は記録的な安値であり、どの海運会社も採算割れでした。
しかし、今年のSCでは運賃の修復が見られ、北米西海岸航路のイーストバウンドでは15%ほど運賃が修復されました。
(運賃修復って奇異な言葉ですよね。でも、海運業界では運賃を改定するとは言わないのです。ちなみに、トラック業界で運賃修復という言葉は聞いたことがありません。)
物流業者の値上げは〇%まで許容されるのか
15%の値上率は、ヤマト運輸の10月からの値上げ幅と期せずして同程度です。両者の値上げはまったく別物なので、その率は、たまたま同じくらいになったということですが、顧客から了解を得られる値上げ幅はそれくらいが妥当だということなのです。
値上げを考えている物流業者は、値上げ幅を15%以上にしない方がいいでしょう。15%以上にすると、恐らく仕事がなくなります。
15%の値上げでヤマト運輸は一息つくことが出来ると思います。
しかし、海運会社は15%くらいでは一息つくどころではなく、まだまだ、ゼイゼイ言っている状態です。
海上運賃はいくらなのか
欧州航路も同程度の運賃修復が行われました。
荷主によっては、運賃が昨年の数倍になった場合もあるようです。
このように『上げ幅が大きい』のですが、運賃そのものを見てみると、昨年の欧州航路(日本発欧州向け)のTEU(20フィートコンテナ)の運賃は、日本で2トン車を一日チャーターするよりも安いのです。
どう考えても、もっと高くて当たり前です。
そのような海上運賃を提示している海運業界は異常としか言いようがありません。
海運業界の現状とは
そのような経営をしているせいでしょう。
韓人海運は海運事業から戦線離脱し、今年初頭その名前がなくなりました。
また、日本を代表する海運会社である日本郵船、商船三井、川崎汽船のコンテナ部門は統合しなければならない事態となりました。
コンテナ輸送はそれだけ厳しい競争環境に置かれているということであり、3社が統合しなければ海上コンテナ船の運行を行う会社は日本から近いうちになくなってしまいます。
米国に目を向けると、米国を代表する海上コンテナ船の運行会社であったシーランドもアメリカン・プレジデント・ラインも、今は米国企業ではありません。
周りを海で囲まれている日本としては、日本の海運会社が無くなる事は死守しなければなりません。米国の二の舞だけは勘弁して欲しいところです。
邦船3社の世界シェア
邦船3社が統合したとしても、シェアは世界の海上コンテナ輸送の6%でしかありません。上位3社はМaersk、МSC、CMA-CGMであり、その合計でシェアが40%を超えています。