輸入関税は何種類かあり、同じ商品でも複数の関税率があるということは、輸入業務を行っている人なら誰でも知っていることでしょう。
その中でも『EPA関税率』や『特恵関税率』は、特に低いというのも言わずと知れたことです。
安い関税率を適用して輸入申告したいという考えは世界共通ですが、そのためには原産地証明書が必要です。
目次
- 原産地証明書の種類
- 自分で作ればいい
- 税関が原産地に疑問を持ったら
- 何をすればよいのか
原産地証明書の種類
原産地証明書の発行は、次の3種類に分類出来ます。
第三者証明制度
政府や政府の認定機関が原産地証明書を発行する制度で、一番ポピュラーなものです。
認定輸出者制度
スイス・ペルー・メキシコEPAでのみ適用可能な、政府が認定した輸出者が自己で原産地を証明する制度です。
自己証明制度
世界で最も一般的な制度ですが、日本では『日豪EPA』で初めて適用されました。これは、生産者・輸出者・輸入者のいずれかが商品の原産地を証明する制度です。
自分で作ればいい
『TPP11』、『日EU・EPA』では『自己証明制度』が使われる頻度が高くなるでしょう。第三者証明してもらう場合には費用が発生しますが、自分で証明すればよいので余分な費用が発生しませんし、いつでも自分のペースで原産地証明書を作成することが出来ます。
こんな楽な制度を導入してこなかった日本の制度を恨めしく思います。
もっと早く使えていたらと思う人も多いことでしょう。
しかし、便利である代わりに、自己責任範囲は大きくなります。
税関が原産地に疑問を持ったら
あなたが輸入者の場合- 輸入申告した税関の担当官から質問がきます。
あなたが輸出者の場合- あなたの商品を輸入した国の税関からあなた宛てに、輸出した商品の原産品に関する情報提供を求めてきます(日本の税関経由ですが)。これをVerification(確認/検認)と言います。輸入国の税関の担当官が、輸出者や生産者の施設を訪問することもあります。
これに対して、あなたは原産地証明書の有効性を立証しなければならないのです。
何をすればよいのか
原産地の認定を正しく行えばよいのです。
しかし簡単なことではありません。たとえばアパレル製品であれば、その生地はどこから輸入されたのでしょうか。どこで捺染されたのでしょうか。どこで縫製されたのでしょうか。それをどうやって証明できるのでしょうか。生地を納入した生地卸が生地の産地を正しく開示してくれますか。
電気製品の場合、組み立てたのはあなたの工場に間違いないでしょう。しかし、モーターはどこから購入したのですか。それは、どこで作られたものでしょうか。電子基板はどこから輸入したのですか。それらが日本製であると証明できますか。若しくは、台湾製であるとどうやって証明するのでしょうか。
自分で証明する方法が分からない、原産地について勉強したい、HSコードの特定を行いたいなどの疑問がある場合は、当研究所へご相談願います。