人手不足によって 納期遵守率が悪化している

人手不足

 相変わらず人手不足が言われています。

 それは物流だけではなく、建設業、流通業、コンビニ、飲食業など全ての業種の問題です。IT業界でも人手不足が言われていますが、ちょっと意味合いが違うようです。顕著な人手不足はAI技術者に見られ、新卒で年収1000万円を超える給与を支払う企業もあるそうです。AI技術者がいかに少ないかを表していますね。

 ちなみに、国税庁の資料によると日本全体の平均給与は465万円(男性572万円、女性280万円)だそうです。

 

ネスレ社の状況と納期遵守率

 物流業界では、最前線である現場で働く人が足りなくなっています。現場作業というと、物流センターの作業者と配送者を思い浮かべることが出来ますが、配送者不足による配送遅れが生じている実態をネスレ社が公表しているので取り上げたいと思います。

 同社の通販では、2016年に納期どおりに配送できた注文件数は99%だったそうです。しかし、2017年には86%まで悪化し、このままだと2018年は70%まで落ちるであろうとのことです。

 物流の世界では、納期遵守率がKPIの一つとされておりますが、納期遵守率を高めることは不可能な時代になってきたのかもしれません。

 

人手不足対策は?

 次の4つが考えられます。

  1. 出生率を上げて将来の働き手を増やす
  2. 労働者を増やす(女性や高齢者の雇用)
  3. 海外から労働者を呼ぶ
  4. 労働生産性を上げる

 

労働生産性とは

 そもそも労働生産性とは次の通りです。

 労働生産性は「労働投入量1単位当たりの産出量・産出額」として表され、労働者1人当たり、あるいは労働1時間当たりでどれだけ成果を生み出したかを示すものです。「労働生産性が向上する」ということは、同じ労働量でより多くの生産物をつくりだしたか、より少ない労働量でこれまでと同じ量の生産物をつくりだしたことを意味します。

出典 日本生産性本部ホームページ

https://www.jpc-net.jp/movement/productivity.html

 

今、どうすべきか

 直ぐに高齢労働者を増やすことは出来ないでしょう。また、出生率が上がったとしても働き手が増えるのは20年後です。そして、海外から労働者を呼ぶといっても、法律上の問題から単純労働者を簡単に呼ぶことは出来ません。

 すると、消去法により、「労働生産性を上げる」が残りました。

 これからは、ロボットの導入やRPAの導入を積極的に行っている物流企業のみが生き残って行くのかもしれません。

 多くの企業が物流改革に着手しています。物流の見直しを積極的に行うことで物流効率化を図ろうと努力しているものの、それらの多くが「井の中の蛙」状態です。自分のいる業界のスタンダードと自社の経験のみから物流改革を行おうとしているからです。

 それでは十分な物流改革は望めないのに、それを理解できていない企業が多いのが実情です。真の物流改革のためには、ブレークスルーが必要です。それに加えて、第三者の知見を使うべきです。