食べるものが無くなる日が来る!そのために何をすべきか

『10.01』

 この番号は何かというと、小麦のHS番号です。輸出入業務に関係している人ならばHS番号を知らない人はいませんね。

 この世の中にある全ての物はHS番号で分類することが出来ます。そして、この『10.01』は、世界中どの国や地域でも小麦のことを指しているのです。

 

小麦

 さて、『10.01』の小麦ですが、日本では一般人や企業は輸入することが出来ません。では誰が輸入しているかというと、政府が輸入し、それを製粉会社等に売り渡しているのです。その売り渡し価格は毎年4月と10月に改定されます。

 

主食の消費量

 日本人の主食である米は、一人あたり年間約55Kg食べられています。一方、小麦は約33Kg食べられているのです。この量を見てみれば、現在の日本では小麦も米と同様に主食だと言っていいでしょう。

 

 ここまでを予備知識として踏まえ、今回の主題に入りましょう。

 

『うどん』と『パン』を食べることが出来なくなる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

    農林水産省資料 抜粋

 

 この表は、政府による小麦の入札結果の推移です。落札価格がほぼ一貫して右肩上がりです。平成19年度から30年度までに落札価格が30%も上がっています。

 つまり小麦価格が高騰しているということです。この10年間で30%以上も値上がりしているものを他に挙げるのは難しいのではないでしょうか。。

 さらに、今年は小麦が世界的に不作のため、ここ半年で市況価格が30%以上上昇しています。今年10月の価格改定では、また一段と価格が上がることでしょう。短期的に見ると不作が一因ですが、価格上昇の大きな原因は違うところにあります。

(しかし、米国と中国の貿易戦争のおかげで、一時的に小麦価格が下がるかもしれません

 

TPPは無意味だ

 TPPでは、食品の輸入関税率が今よりも低くなります。これにより、日本の農家が打撃を受けるといわれていますが、中長期的に見ると、農家にはフォローウインドが吹くでしょう。

 それは、いくら関税率が低くなっても、海外から輸入する食料品自体の価格が上がるからです。それは小麦に限らずです。

 お隣の国、中国では国全体で生活水準が上がっています。今まで食べることが出来なかったものを食べることが出来る人が増え、それらを輸入するようになります。すると、市場価格が上昇し、日本が買い負けていくことになるのです。

 実際、今まで日本人くらいしか食べていなかったマグロが世界中で食べられるようになり、マグロの価格が上がっています。これが全ての食品で起こります。

 中国だけではなく、中国の次はその西側の国々が徐々に力を得ていくため、食料品の価格がどんどん上がります。

 そうなると、TPPで関税率を少しくらい下げても意味がなくなり、いつかは関税率をゼロにしなければならない日が来ることでしょう。

 輸入価格が上がれば、日本国民は国内産の食料品に活路を求めます。つまり、中長期的には国内農家が盛り返すのです。