あなたも、関税を多く払いすぎていませんか
最近問い合わせが多い案件にHSコードの見直しがあります。
問い合わせには2つの種類があります。
- 一つ目の事例
同じ商品の輸入申告にもかかわらず税関によってHSコードが違うために関税率が違うというものです。
つまり某税関では無税で輸入許可になっているが、他の税関では有税ということです。税関に話をすることも考えたのですが、今まで無税で許可になっていたものが有税になってしまったら困るので、そのままにしているそうです。とはいえ、本当はどちらであるかを知ったうえで、無税が正しいのであれば、当然に無税で申告したいということでした。
数年前にも同様の依頼があり、商品の材質、形状、用途等の情報を揃えてもらい、『勝てる』と確信したので、事前教示を行いました。
その結果、『無税』という結果を『勝ち取り』、相当額の関税を支払わなくても良いことになりました。
今回は、商品は違えども全く同じ案件です。
今、商品の詳細情報を揃えてもらっているところです。
- 二つ目の事例
HSコードの見直しです。
なぜ見直しを行うことになったかというと、今まで、HSコード(関税率)の決定は通関業者任せで行っており、それを信じて輸入申告し許可されていました。
しかし、新しい担当者が疑問を抱き、商品説明資料を確認し通関業者と相談したところ、同じ品物にもかかわらず無税になったことから、通関業者を全面的に信頼してはならないと感じ、インターネットから問い合わせを頂きました。
その会社の方は、『最低の通関業者だ』と言うのですが、本当にひどい通関業者なのでしょうか。実際、十分な能力を備えていないとも言えます。
しかし、別の見方をすると、自分たちでHSコードを考えずに、通関業者の言うことを鵜呑みにしている体質にも問題があるのではないでしょうか。
物流現場や製造現場では、1秒の時間短縮や1円のコスト削減を行っているのに、いざ通関、そして関税率のこととなると、まったく自分たちで考えようとしないのはどうしてなのでしょう。
輸入統計品目表(実行関税率表)を見ても、何が書いてあるか分からないから通関業者に頼むしかないというのは、自分たちで考えることを最初から放棄しているということです。
それを見つけられなかった担当者が悪者のような扱いを受けていましたが、それを容認している上司も会社もいけないのではないでしょうか、と話したところ、『だから物流・貿易研究所に連絡をしたんですよ』ということで、セカンドオピニオンとして、現在全ての商品についてHSコードの見直しを行っています。
しかし、通関業者も税関も長年間違っていたような商品のHSコードですから、確定は簡単なことではありません。
仮の数字ではありますが、1商品あたりのCIF金額が50,000円で、関税率が3%の場合、その関税額は1,500円です。100個輸入したら150,000円、1000個だったら1,500,000円を無駄に納税していたのです。
支払う必要のない1,500円を今まで納税し続けていたことを考えると恐ろしい限りです(これに加えて輸入消費税も多く納税していたことになります)。
これだけの利益を出すには、どれだけ売れば良いのか、営業担当者がそれを知ったら間違いなく怒るでしょう。
これから、CPTPP(TPP11)や日EU・EPAなどの大型EPAが増えてくることで、HSコードの見直しがより重要になってくるのは間違いありません。
HSコードについて問題を抱えている会社は少なくないと思います。そろそろ、自社で関税率を確認する体制を取った方が良い時期かもしれません。若しくは、専門家に頼んではいかがでしょうか。