インコタームズが変わるとはどういうことなのか

インコタームズの初期知識

 貿易に携わる人でインコタームズという言葉を聞いたことがない人はいないでしょう。

 しかし、それが何であるかを知っている人は意外に少ないようです。そこで、まずはインコタームズについて簡単に説明しましょう。

 インコタームズは、国際商工会議所(ICC:International Chamber of Commerce)が制定している規則です。最初の版は1936年に制定されました。その後、必要に応じて改定されており、最近では10年毎に改定するのが通例となっています。

 

インコタームズの何を知らないのか

 多くの人が貿易取引ではインコタームズを使わなければならないと思っていますが、これは、条約でもない、そして法律でもないということから、使う義務はないのです。

しかし、世界中のほとんどの取引でインコタームズは使われています。そして、改定されているということは、その必要があるからなので、使うのであれば極力最新版を使うべきでしょう。

 また、10年毎に改定されていることを知らない人がとても多いです。航空機を使った取引や、コンテナ船を使った取引に、未だにFOBを使っている人が多いのはその裏付けの一つだと言えます。

 

最新版のインコタームズ?

 最新版は2010年に発効されたインコタームズ2010ですが、10年毎に改定するということから、あと半年も経たないうちにお役御免となってしまう予定です。

 ちなみに、2つのカテゴリーに11のルールが取り決められています。一応、11のルールを列挙します。

   『EXW、FCA、CPT、CIP、DAT、DAP、DDP』

   『FAS、FOB、CFR、CIF』

 

インコタームズ2020で何が変わるのか

 これは2020年1月1日に発効される予定であり、それに先立って今秋公表されるようです。

 2020年版では、どうもFASが無くなるようです。そして、CNIが新設されると言われています。

 FASが何故無くなるかというと、使用頻度が低いからだそうです。

 ではCNIとは?

C&Iと言えば分かる人も多いのではないでしょうか。そうです、『コスト+保険』が復活するのです。

 その他には、FCA、DDP、そしてFOBやCIFにも変更があるそうです。

 

FASを使っている人はどうするのか

 今後は、FASを使わずに新たなルールを適用した方が良いのですが、そのまま使用しても全く問題はありません。

 どうしてでしょうか。

 それは、インコタームズが条約でもないし法律でもないからであり、最新版を使用する義務がないからです。繰り返しますが、そもそも貿易取引にインコタームズを使用する義務もありません。

 

※   2020年版について記載したことは、あくまでもうわさであることをご了解願います。