パートタイム・有期雇用労働法とは?

『パートタイム・有期雇用労働法』を知っていますか。

 この法律の正式名称は、「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」であり、平成30年7月6日に公布され、令和241日に施行された、できたばかりの法律です。

 これが『パートタイム・有期雇用労働法と』と呼ばれているのです。

 その内容は、同一企業内における、正規型労働者とパートタイム労働者の間の不合理な待遇の差を禁止し、同じ条件で雇用しましょうというものです。

 

パートタイムとアルバイトの違い

 「パートタイム」も「アルバイト」も、どちらも法律上は「パートタイム労働者」に分類され、両方とも、「1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者の1週間の所定労働時間に比べて短い労働者」とされています。

 「嘱託」、「契約社員」、「臨時社員」、「準社員」なども「パートタイム労働者」の一部です。

 ちなみに、「通常の労働者」とは、事業所において社会通念にしたがい「通常」と判断される労働者のことをいいます。「通常」の判断は業務の種類ごとに違い、「正社員」、「正職員」などの、いわゆる正規型の労働者がいれば、その労働者をいいます。

 では、「パートタイム」と「アルバイト」の違いはと言うと、法的な根拠はないため各企業の判断になりますが、私が以前聞いたのは、「パートタイム」はその賃金を生活の糧にしている人で、「アルバイト」はその賃金を主に遊行費に使う人という分け方です。(諸説あります)

 

同一労働同一賃金とは?

 同一労働同一賃金とは、その名の通り同じ労働を行っているのであれば同じ賃金を払う必要があるという決まりです。

 厚労省が作成した同一労働同一賃金ガイドラインがあり、正社員とパートタイム労働者との間に待遇差が存在する場合「どのような待遇差が不合理か・不合理でないか」の原則となる考えに加え、典型的な例といくつかの具体例が示されています。

 

改正によって変わる3つのポイントとは?

1 不合理な待遇差が禁止される

 正規型労働者とパートタイム労働者との間で、基本給や賞与などのあらゆる待遇が不合理であってはなりません。厚労省の同一労働同一賃金ガイドラインを参照ください。

2 待遇に関する説明義務が強化される

 パートタイム労働者は「正規型労働者との待遇差の内容や理由」などについて、事業主に説明を求めることができ、事業主には説明義務があります。

3 行政による対応が変わる

 都道府県労働局において、無料・非公開の紛争手続きが行われます。「均衡待遇」や「待遇差の内容・理由に関する説明」は、事業主と労働者との間の紛争を裁判をせずに解決する行政ADRの対象です。

 

 メールマガジンを継続して読んで下さっている方は、おそらく、「派遣労働者の同一労働同一賃金」と何がちがうの?と思っていることでしょう。そうです、その内容は基本的に全く同じです。

 では、なぜこれを記事にしたかというと、コンプライアンス対策のためです。特に、中小企業の。

 大企業には、しっかりとした体制の人事部や法務部があり、社内弁護士を雇用している企業も少なくありません。しかし、日本の企業の99.7%は中小企業です。そして、中小企業で働いている従業員数は従業者全体の70%にもなります。(経済産業省2016年)

 これら中小企業の中には、法に疎い企業も多いのです。そんな方々が、前回のメルマガを見て派遣労働者雇用時の待遇に気を配ったが、パートタイマーの待遇には目を向けていなかったため、知らないうちに法を犯していたという事態に陥らないようにするべきと思いました。

 派遣労働者については、派遣会社が守る改正労働者派遣法の下での雇用なので、雇用主側が法を犯すことはそれほどないでしょう。しかし、「短時間労働者」は自社で雇用しているのですから、自社で法を知っておかなければなりません。

 コンプライアンスが重視される世の中です。そんな法律は知らなかったでは済まされないことを知っておきましょう。