TPPとセーフガード 後編

■セーフガードとねぎ

平成13年4月10日付で「ねぎ」に対して、

平成13年4月23日からの200日間セーフガードが暫定発動されました。

 

この時の概要は次の通りです。

過去3年間の輸入通関実績から、

全国で5,383トンまでの輸入については通常の関税率3%が適用され、

この量を超える場合は225円/Kgの関税額がかかるというものです。

これを関税率に換算すると、なんと256%に相当します。

これは、通常の関税率の85倍以上に相当することから、

絶対に輸入させないぞという意思表示のようなものです。

この時には、生シイタケと畳表にも同時にセーフガードが発動されました。

 

この時の、セーフガード発動は中国からの輸入急増が要因でしたが、

日本がセーフガードを発動したことで、

中国も日本で製造された自動車、携帯電話、空調機の3品目の輸入に対して

100%の特別関税をかけるという、仁義なき戦いが繰り広げられました。

しかし、日中協議の結果、2001年12月21日お互いに

これらの関税を取り下げるということで決着しました。

 

■ TPPとセーフガード

日米間のTPP交渉の場で焦点になっている米国産の豚肉と牛肉に関して、

日本がセーフガードを発動する場合は「特別セーフガード」が適用されることでしょう。

特別セーフガードは、ウルグアイ・ラウンドの合意で

「輸出国の対抗措置は不可」とされていることから、

米国としては対抗措置を取ることができなくなるため、

日本がセーフガードを実際に使うことができないような条件を

付けたいと思っているはずです。

また、対抗措置は出来ないとされていても、

米国が他の品目にセーフガードを発動させることで

実質的な対抗措置を取ることもあり得ます。

 

参考ページ
8月号1/2 TPPとセーフガード

この掲載文は、ロジスティクストレンド誌に連載している内容を転載しております。

http://www.logitrend.info/

 

貿易コンサルタント 木村徹