TPPを巡る最近の国際情勢 前編

8月5日に開催された日米協議では、またも進展が見られませんでした。

最近では新聞での、またテレビでの報道もめっきり減ったことから

殆どの国民はTPPの事自体を忘れているのではないかと思います。

 

TPPが進展しないことが、日中韓EPAやRCEPに影響しなければ良いのですが。

 

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今まではTPPの内容自体について話してきましたが、

今回は、なかなか進展が見えないTPPを巡る国際情勢について斬っていきます。

 

米国では秋に中間選挙がありますが、これを有利に運ぶために、オバマ大統領が来日の際に

TPP交渉の決着をつけるという筋書きができており、

そのために、USTRのフロマン氏が水面下で交渉していると思っていたのですが、

残念なことに私の予想は外れTPP交渉が漂流し始めました。

 

TPPの基本は関税の撤廃であるということは間違いありません。

 

しかし、日本がTPP参加を決めた一つの要因に、2013年2月に安倍首相が米国を訪問した際の

首脳会談におけるオバマ大統領の次の言葉があると、どの新聞もこぞって報道していました。

 

「日本がTPP交渉に参加する前提条件として、一方的にすべての関税を撤廃することを

約束する必要はないことを認める発言をした。」

 

その直後、安倍首相がTPP参加を表明しました。

フロマン氏は、TPPの理念は関税撤廃にあるという姿勢を一貫して崩していません。

 

その通りではありますが、オバマ大統領の言葉は何だったのか?

と疑問に思わざるをえません。

 

(次号に続く)
7月号2/3 TPPを巡る最近の国際情勢
7月号3/3 TPPを巡る最近の国際情勢

 

この掲載文は、ロジスティクストレンド誌に連載している内容を転載しております。

http://www.logitrend.info/

 

貿易コンサルタント 木村徹