今年のボジョレー・ヌーヴォー

 少し早いですが、今年のボジョレー・ヌーヴォーの解禁日は11月19日の木曜日です。

 毎年待ちに待っている人も多くいることでしょう。でも今年は、出来は良いだろうかという心配よりも、そもそも例年同様に飲むことができるのかどうかを考えなければなりません。

 

ボジョレー・ヌーヴォーを運ぶことができない

 通常、ボジョレー・ヌーヴォーは、11月第3木曜日の解禁日に間に合わせるために航空機で輸送されています。しかし、本年は、コロナウイルス(COVIT19)が原因で世界中の空で航空機がほとんど飛んでいません。実際、日本航空の本年第一四半期の売上は昨年同期比78.1%のマイナスでした。

 国際便だけを切り取ってみると、なんと97.9%ものマイナスで、金額で言うと昨年の第一四半期の売り上げ1,306億円が、今年は27億円だったのです。

 まさに、この数字こそが飛行機が飛んでいないことを意味しており、これは、ボジョレー・ヌーヴォーを運ぶ飛行機がないということにもなります。この傾向は少なくとも本年いっぱい続くことでしょう。

 

ボジョレー・ヌーヴォーを飲むことができないのか

 ボジョレー・ヌーヴォーの解禁日は世界同時に11月第3週の木曜日と決まっています。

 そして、生産者から海外への輸出できるのは、解禁日の20日前である10月31日と決まっています。このボジョレー・ヌーヴォーをフランスから日本まで海上輸送で運ぶとなると、約40日かかるため、海上輸送では解禁日に間に合わないのです。

 このような環境下で解禁日に間に合わせるには、ものすごく高い航空運賃を支払って運ばなければならないことになるので、庶民の口には到底入ることはないでしょう。

 当然、貨物機で運ぶというチョイスもありますが、圧倒的な機体数の数から、旅客機の方が貨物輸送量は多いのです。その旅客機が飛んでいないという現実が、このような日程変更になったのです。

 

ボジョレー・ヌーヴォーをどうやって運ぶか

 そんな中、今年は世界的にCOVIT19による特別な環境にあるということから、生産者から出荷される日付が例年より早まり10月5日と定められました。また、フランスから外国への輸出が可能となるのは10月12日であると発表されました。

 ONE(Ocean Network Express)のスケジュールを見てみると、「ONE HUMBER 085E」という船が、Le Havre港を10月12日に出港し、11月11日に神戸港に入港するようです。ボジョレー・ヌーヴォーの産地はフランスの南部であるため、地中海沿岸から船積みすることで、もう少し早く到着する本船があるかもしれません。つまり、今年限定の特別な計らいにより、海上輸送で運ばれても解禁日に間に合うのです。

 日本が輸入しているボジョレー・ヌーヴォーの輸入量は、世界のほぼ半分にあたる44万ケース(2018年)にものぼるのですから、産地では日本を無視することはできなかったということでしょう。

 航空輸送よりも、海上輸送の方が1本あたりの輸送コストが低いのは明白です。今年は、昨年よりも安く飲むことができるかもしれません。