日EU EPAが2019年2月1日に発効されてから、約1年半経ちます。発効前には、どのメディアも「ワインの関税が無税になるため、日EU EPA発効後はワインが安く飲めるようになる」と毎日のように報道していました。
ちなみに、発効前の関税額は次の通りです(国税庁の資料から抜粋)。
・ ボトルワイン :67円~125円/Little
・ スパークリングワイン :182円/Little
いくら安くなったのか
上記の関税額から計算すると、1ボトル(750ml)当たりの関税額は約100円であることから、1000円のワインであれば約10%も価格が下がることになったのです。1万円のワインだと値下げ率は1%にしかならないので、日EU EPAによる価格低下のメリットは、安価なワインほど享受することができるというものです。ワインの関税は重量税であり輸入額には影響されないので、このように容量により価格が変動されます。
流通企業各社の値下げへの取り組み
過去の資料を見返したところ、イオンは欧州産ワイン約500種類を最大1割安くすると発表していました。セブン&アイ(イトーヨーカドーやセブンイレブン)や、成城石井、サントリー、キリン、エノテカなども欧州産ワインを10~20%値下げすると発表していました。
ワインの輸入量はどう変わったのか
税関統計から輸入量と輸入額を調べてみました。
グラフではものすごく増えているように見えますが、なんと量では20%、額では8%ほどの増加率でしかありませんでした。ワインを飲まない者にとっては20%の増加が多いのか少ないのか、残念ながら分かりませんが、関税が無税になるとメディアがあれだけ煽っていたので、もっともっと多いかと思っていました。
コロナウイルス下の本年は昨年同期と比較してどうなのか
輸入量
(1000Little) |
輸入額
(100万円) |
|
2019年前期 | 72,718 | 67,610 |
2020年前期 | 70,924 | 61,297 |
量、額共に昨年同期と比較すると、若干少なくなっています。
コロナウイルス下で飲食店での販売が見込めないにもかかわらず輸入量がさほど減らないということは、家庭での消費が増えているのかもしれません。
本来であれば、日本産ワインの出荷量や日本産ワインの輸出量も調べたいところですが、それは次の機会にしたいと思います。