SDGsとロジスティクス

 最近の世の中では、SDGsという言葉が多用されていますが、SDGsは一言で言い表せるものではありません。

 なぜならそれは17の国際目標と169ものターゲットから構成されているからです。SDGsと声高に言っていても、それらを熟知している人はほとんどいないでしょう。

 その中でもロジスティクスに関係すると思われるものに、「エネルギー」、「イノベーション」、「気候変動」が挙げられますが、特に気になるのは、これらに大きく関連するCO2の削減問題でしょう。

 これは、「カーボンニュートラル」、「脱炭素社会の実現」という言葉で表され、更なる取り組みの強化が求められています。日本は、「2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」ことを表明しています。では、ロジスティクスでは何ができるのでしょうか。

 

ロジスティクスでできるSDGs

 ロジスティクスでできる脱炭素社会の実現はそれほど多くありません。大きく分けると次のようにまとめられます。

  • モーダルシフト
  • 輸配送網の共同化
  • 環境負荷が低い輸送方法の利用

 これらの取り組みが寄与しているのでしょう。運輸部門におけるエネルギー起源CO2の排出量は、2019年度で206百万tと、2015年度比で11百万tも減少しています。

 

ロジスティクスが行うこれからの取り組み

 ロジスティクスを実行するための自動化機器やシステムなどの新技術導入、そして、効率的な輸配送化に取り組むことでさらなるCO2の削減を実現することが出来るでしょう。ただしこれは、ロジスティクスの現場だけではなく、サプライチェーン全体で考えなければ片手落ちになってしまいます。

 

モーダルシフトの更なる進展とS&OP

 皆さんがよくご存じの通り、トラックのCO2排出量(トンキロベース)はとても多く、その量は鉄道の13倍、船舶の5倍にもなります。つまり、輸送手段を鉄道や船舶へ切り替えることで必然的にCO2の削減に寄与することが出来るのです。長距離輸送であればCO2削減と共に輸送コストを削減することも出来ます。

 しかしながら、モーダルシフトによってトータルサプライチェーンコストが高くなることがあります。それは、輸送期間が長くなることで金利負担が発生するからです。そのような事態に陥らないためにも、ロジスティクス部門だけで考えずに、S&OPを考慮してサプライチェーンの横断型で考えなければならないのです。

 そんなのは当たり前だと思う方もいることでしょう。しかし、それが出来ている企業は今なお少数なのが現実です。ほとんどの企業が横断型で物事を考えずに個別最適を行って満足していることを思うと、これからまだ、やるべきことがたくさんあると言えます。