本当に怖いISDS条項 中編

■ 遺伝子組み換え食品の輸入
この「遺伝子組み換え農産物」ですが、実は大量に日本に輸入されており、
間接的ですが皆さんは毎日のように摂取しています。

それは飼料です。家畜のエサとして大量に輸入されているものに
「トウモロコシ」がありますが、そのほとんどは遺伝子組み換えトウモロコシなのです。

これを主食として育った牛は和牛や国産牛として販売されています。

これらの牛が育った場所は日本に間違いないかもしれませんが、
その肉は米国製と言い換えることが出来るでしょう。

しかも遺伝子組み換え製の肉とも言えます。

この飼料、食品衛生法の範囲外のため遺伝子組み換えについての表示義務はありません。

■ 想定 大豆の輸入業者とISDS
例えばですが、TPP参加国の企業が日本に農業法人を設立し
飼料として遺伝子組み換えトウモロコシ輸入しているとします。

ある時日本が、遺伝子組み換えの表示を飼料にも適用するとした場合、
日本の企業であれば法律の変更に従って表示変更するでしょう。

しかし、海外の企業はそのような日本の事情よりも、
自社の不利益の方をクローズアップして捉える傾向が高いため、
この法律の施行により輸入が困難になったり、利益が減ったりした場合、
法律を変更した日本を訴えることが出来るというものがISDSなのです。

 

(つづく)

参考ページ
3月号1/3 本当に怖いISDS条項
3月号3/3 本当に怖いISDS条項

この掲載文は、ロジスティクストレンド誌に連載している内容を転載しております。
http://www.logitrend.info/

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 

貿易コンサルタント 木村徹