TPPが農業に与えるインパクト 後編

■ グローバルな食市場
現在のグローバルな食市場規模は340兆円です。
そして、10年後には680兆円になると言われています。

そのような環境の中日本の農水畜産物の輸出高は現在5,000億円ですが、
輸出倍増計画によって10年後には1兆円にすると農水省は言っており
様々な輸出振興策を講じています。

これらの輸出振興策を有意義に活用して今のうちから輸出対策を行うことが重要です。

先ほどの食市場規模は今後10年間の数字ですが、その先を見てみましょう。

2011年の世界人口は69億人ですが、
2050年には93億人になるであろうと試算されています。
40年後には人口が35%、しかも若年層が著しく増加するとされているのです。

ここから見えるのは、地球規模で考えた場合40年後は現在よりも確実に
35%以上多くの食糧が必要になるという事です。

その間に低所得層に代わって中間層や富裕層も増えてくることでしょう。
それらに目を向けることで、畜産業者は、市場拡大を自ら行う事が出来るのです。

ただ、人口は40年で1.35倍になりますが、
食市場規模額が10年で2倍になる点が気になります。
割合から考えると食市場規模額の上昇率はもっと低いはずなので、
これは食料価格の上昇が急であることを指していると考えられます。

このように、関税が無税になることで輸入食糧品が安く購入できるというのは
一過性の利点であり、長期視点で見ると
輸入食糧の価格が高くなることも十分にあり得るということです。

参考ページ
2月号1/3 TPPが農業に与えるインパクト
2月号2/3 TPPが農業に与えるインパクト

次回は3月号をお送りいたします。

この掲載文は、ロジスティクストレンド誌に連載している内容を転載しております。
http://www.logitrend.info/

 

貿易コンサルタント 木村徹