HSコード(輸入統計品目番号)は概ね5年毎に大幅に改正されます。今年はその年にあたり2022年1月1日に改正され発効されました。
改正される理由は、「技術革新による新規商品の登場等に対応するため」とされています。
今回のメルマガの内容は、HSコードが分かっていないと理解が難しいかもしれませんが、貿易実務のためには知っておかなければならない知識です。
これらの商品は今までHSコード番号が決まっていなかった!
当たり前のように世の中にあり、誰もが毎日のように目にしている商品にもかかわらず、HSコード番号が決まっていなかった物に、次のような物があります。これらには今回HSコード番号が新設されました。
- 人工芝
今まで、5703項の項の規定は次のようでした。「じゅうたんその他の紡織用繊維の床用敷物(タフトしたものに限るものとし、製品にしたものであるかないかを問わない」。そして、この項の「その他のもの」に人工芝は分類されていました。
しかし、改正後は5703項の項の規定が「じゅうたんその他の紡織用繊維の床用敷物(人工芝を含み…」とされ、『人工芝を含み』という文言が記述されるようになりました。
- ドローン
ドローンのために8806項が新設されました。
また、88類に次のような新しい注が制定されました。「無人航空機とは、8801項の物品を除き、操縦士が搭乗せずに飛ぶように設計した航空機をいう。無人航空機には、積載物を運搬するように設計したもの又は恒久的に組み込まれたデジタルカメラ若しくは飛行中に実用的機能を発揮可能なその他の装置を装備したものを含む。ただし、無人航空機には、専ら娯楽用に設計された飛行する玩具を含まない(9503項参照)」
その他、「旅客の輸送用に設計したもの」という号が新設されました。このような商品は未だ実用化されていないにもかかわらずです。次回の5年後の大幅改正までに輸入されるということを見越したということでしょうか。
- 加熱式たばこ
一般的な紙巻きたばこは2401項に分類されており、現在でも同項に分類されますが、それ以外のたばこ類は、いろいろな項に分類されていました。例えば、加熱式たばこは2403項、電子たばこは3824項、ニコチンガムは2106項、そしてニコチンパッチは3824項というようにです。
改正後、それ以外のたばこ類は全て2402項に分類されることになりました。
- スマートフォン
今まで、8517項の項の規定は「電話機(携帯回線網用その他の無線回線網用の電話を含む。)及びその他の機器…」とされており、スマートフォンは、この項の中の851712号の「携帯回線網用その他の無線回線網用の電話」に分類されていました。
これは、スマートフォンという商品が規定されていなかったからです。
しかし、改正後は8517項の項の規定が次のように変わりました。「電話機(スマートフォン及び…」。そして851713号(スマートフォン)が新設されたことで、ようやく、スマートフォンがHSコード番号上で市民権を得ることが出来たのです。
その他の改正
その他にも、3Dプリンターのために8485項が新設されました。ちなみに、名称は3Dプリンターではなく、「積層造形用の機械」です。また、偽薬(プラセボ)、ヨーグルト、微生物性の油脂、炭素繊維等、HSコードが改正された商品は多数あります。
私には関係ないでは済まない
HSコード番号を分かっていないと、間違ったHSコード番号で輸入申告することになりかねません。通関業者が正しく知っていることは当たり前ですが、荷主企業も同様に正しく理解しているべきです。
荷主企業の担当者の中にはHSコード番号の分類を通関業者任せにしている人も多く見受けられますが、1円でもコストを削減したい人が、HSコード次第で何パーセントも変わってきてしまう高率の関税について自分で確認もせずに人任せにしているのにはとても違和感を覚えます。