24年問題とは
働き方改革関連法で定められている「自動車運転の業務の時間外労働の上限規制」が2024年から適用されることで、トラック稼働総台数が減るのではないかと言われている問題です。現在では荷主が運送業者を選ぶのが一般的ですが、24年以降は運送業者が荷主を選ぶことになるかもしれません。
今回は、トラックと違い、あまり目を向けてもらえない船舶輸送に関する問題にフォーカスしました。これも24年問題と似たような問題を抱えています。
内航船の将来が危ない
モーダルシフト化を進めるために、トラック輸送から船舶輸送に替えることを考えている方も多くいることと思いますが、まずは船舶の運航について知ってほしいと思います。
船舶の種類は大きく分けて2つあります。外航船と内航船です。外航船とは、国と国をつなぐ海上輸送を行っている船です。そして、内航船とは日本国内のみの輸送を行っている船です。
現在、モーダルシフトに大きく関係している内航船には大きな課題があります。トラックドライバー同様に高齢化問題を抱えているということです。
内航船の船員数は3万人弱ですが、年齢を見てみると50才以上の方が45%を占めています。トラックと違うところは若い層が若干増えているということです。
若年者がトラックドライバーになりたくない大きな理由として、その日に自宅に戻ることが出来ないという点が挙げられます。その期間は、トラックドライバーの場合長くても1週間程度ですが、船舶の乗組員は半年以上自宅に帰ることが出来ない場合も多いのです。それは働き方改革からほど遠い勤務形態だと感じますが、業務上いたし方ないことです。良いことといえば、トラックドライバーよりも給与が良いということでしょう。
内航船の種類と数
内航船は約5,000隻登録されています。トン数でみると自動車専用船、セメント専用船、油送船などの専用船が多く見受けられます。また、小型の499総トン以下の小型船が全体の70%ほどですが、これでも大型化が進んでいるのです。
さらに、内航船では一杯船主(船社)も多くあります。これは1隻しか船を持っていない小規模事業者であり、とうちゃん船長、かあちゃん機関長というような内航船もあります。
内航船への就職
海技教育機構や海洋系高校の卒業者を中心に毎年700人ほどが新卒者として、内航船の乗組員として採用されていますが、私が知っている範囲では、多くの人が早い時期に辞めているそうです。国は、船舶乗組員の働き方改革にも、もっと目を向けて欲しいと思います。
トラックはドライバーが足りない、鉄道輸送は空きスペースがない、内航船は高齢化問題というように、非常に高い確率で輸送インフラに行き詰まりが生じる恐れがあるのです。