ほとんどの方は小豆の輸入について考えたことがないだろうと思いますが、
この小豆の輸入関税には「関税割当」という制度が適用されています。
「関税割当」という言葉を聞いたことがある人でも、それが何であるかを説明できる人は少ないでしょう。
この「関税割当」は、その他には革靴、ナチュラルチーズ、パイナップルなどに適用されています。
関税割当とは
割当という言葉から、輸入してよい数量と品目が決まっているのではと想像できそうですが、まさにその通りであり、品目によって農林水産省や経済産業省がその数量と割当先を決めています。
では割当を受けていない者は輸入することができないのかというと、そういうことではなく、割当を受けた者は特別に低い税率で対象品目を輸入することができ、割当を受けていない者は高い関税率が適用された関税を納税すれば輸入することができます。
この割安な税率を一時税率といい、割当を持っていない者に適用される税率を二次税率といいます。
二次税率で納税すれば輸入数量に限度はありません。これが「輸入割当制度」と違うところです。
※ 輸入割当制度については、今回は触れません。
関税という制度は国内生産者の保護を図る制度であり、この関税割当も何種類かある関税制度の一つです。
一時税率
一次税率の適用を受ける数量(関税割当数量)は原則として、国内需要見込数量から国内生産見込数量を控除した数量を基準とし、国際市況やその他の条件を勘案して関税割当制度に関する政令で定められます。
19品目
令和4年度現在、19品目が関税割当の対象とされています。その一部をご紹介します。
「とうもろこし、ナチュラルチーズ、麦芽、無糖ココア調製品、トマトピューレー、トマトペースト、パイナップル缶詰、脱脂粉乳、無糖れん乳、バター、雑豆、でん粉、落花生、こんにゃく芋、調製食用脂、繭及び生糸、牛馬革、羊革・やぎ革、革靴」などです。
税率?
この中でも、皆さんになじみのある革靴について見てみましょう。
令和4年度の割り当て足数は12,019,000足であり、税率は次の通りです。
- 一時税率は 3%から24%
- 二次税率は 30%又は¥2,400、¥4,300/足の高い方
枠の管理方法
枠の管理方法は、輸入者の関税割当申請に対して監督省庁が事前に割当てを行い、関税割当証明書を発給する方式と、輸出国が発給する方式と、輸入額を毎月税関で把握し枠を超えたら輸入を停止するシーリング方式があります。
数十年も前のことですが、革靴の輸入に携わっていた頃、枠が足りない場合は枠が余っている企業から枠を購入して輸入することが可能でした。おそらく現在では、自分で輸入しないで枠を売買するような企業はないと思います。また、そのような割当を行う省庁はないと信じたいです。