無税にならない場合、それは原産地規則が守られていない場合です。
TPPはEPAと同様のものであると以前お話しました。
ですから、TPPが締結された際の原産地規則はEPAと同等のものになるでしょう。
そこで、EPAの原産地規則を勉強したいと思います。
EPA締結国から輸入される貨物でも無税にならない場合があります。
それは、EPA輸出国の原産品のみにEPA税率が適用されると定められている
からです。では、「EPA輸出国の原産品」とはどんなものなのでしょうか。
それを知るためにいくつかの用語を覚えておきましょう。
「原産地基準」と「原産地証明制度」と「積送基準」です。
「原産地基準」
どんな原材料を使って、どんな製造工程を経れば
その国の原産品となるかについては、
個々のEPA交渉の中で決められているため、
同じ品目であってもEPA毎に異なる原産地基準となっている場合があります。
そこで、代表的な基準を4つ紹介します。
① 完全生産品
野菜、果物、家畜のように、
EPA輸出国で生産がすべて完結するような産品は、
間違いなくその国で生産されていることになるため「完全生産品」と言います。
② 実質的変更基準を満たす産品
EPA輸出国の原産品でない産品(非原産品)を
材料として生産を行う場合、
製品が元の材料から大きく変化している場合は、
EPA輸出国を原産地とする新しい製品が生まれたと考えます。
なお、実質的変更基準は品目毎に異なっています。
③ 原産材料のみから生産された産品
原産品である材料のみから生産された産品についても、
原産品とされています。
④ 原産品の範囲を広げる規定
EPAには、日本の原産品の材料は
EPA輸出国の原産品の材料として扱うことができるという規定があります。
(参考)
「10月号 2/2 TPP締約国からの輸入でも無税にならない場合がある!」
貿易コンサルタント 木村徹