TPPと日本のFTA戦略 前編

1年間TPP交渉についてお話してきました。

本来であれば、昨年末にTPPが成立するはずでしたが、いまだ出口が見えてきません。

 

11月末にTPP参加12カ国による閣僚会議がオーストラリアのシドニーで開催されますが、

どうなるのでしょうか。

今春の私の予測は、本年4月にオバマ大統領が訪日した際、

関税問題を中心とした日米TPP協議がまとまるだろうというものでした。その理由は、

日本がTPP参加を決めた一つの理由にオバマ大統領が発言した次の言葉があるからです。

「日本がTPP交渉に参加する前提条件として、

一方的にすべての関税を撤廃することを約束する必要はないことを認める。」

 

しかしながら、それはかないませんでした。

オバマ大統領は自分が発した言葉を覚えていないのか、

若しくは、「一方的に」の言葉の解釈が日米間で違っていたのか、

その真実はもはや誰にも分からないことでしょう。

 

最近の新聞報道によると、

甘利大臣が米国に対して豚肉の関税率を大幅譲歩すると言ったにも関わらず、

ホフマン通商代表は米国の自動車部品関税を下げることはしないと明言したそうです。

 

このことは、日本は米国に対して譲歩しなければならないが、

米国は日本に対して譲歩する必要がないとも受け取れます。

交渉とは一方的なものではなく、お互いの譲歩の上に成り立つものなので、

米国は交渉を放棄しているとしか考えられない対応です。

 

(参考ページ)

12月号2/2 TPPと日本のFTA戦略

 

貿易コンサルタント 木村徹