パナマ運河100年 前編

国際物流の担当者が最低限知っておかなければならない知識の中には、

紅海と地中海を結ぶスエズ運河と、カリブ海と太平洋を結ぶパナマ運河があります。

このパナマ運河は、1904年に建設が開始され10年後の1914年に竣工し、

その後長い期間米国の管理下にありました。

しかし、1999年12月31日正午にパナマに返還され、

現在は「パナマ運河庁」が管理しています。

 

拡張工事

竣工後100年を迎えるパナマ運河は、現在拡張工事中であり、

2016年に予定されている工事終了後には運河のキャパシティが

約80%増加するとされています。

この拡張工事の総事業費は52億5,000万米ドルであり、

日本からも国際協力銀行と民間金融機関とで

1,000億円近い額の協調融資をしています。

拡張工事を行っている大きな理由は、

全長80Kmのパナマ運河を航行する船舶が増加しているからです。

順調に航行すれば約8時間で通過できるのですが、

現在では平均26時間もかかっており、

時期によっては50時間以上かかることもあるそうです。

また、世界的に船舶のサイズが大きくなってきていることも

運河の拡張が必要とされている理由の一つです。

 

パナマ運河

パナマ運河

パナマックス船

今のところパナマ運河を航行することができる最大の船舶は、全長約294m、幅約32m、喫水約12mのサイズのパナマックス船と呼ばれている船舶です。

このサイズは20フィートコンテナを5,000個積載することができるコンテナ船に相当します。

なお、拡張後は全長約366m、幅約49m、喫水約15mのポスト・パナマックス船と呼ばれるサイズの船舶が航行できるようになり、現在の約3倍弱のコンテナを積載することができるコンテナ船が航行可能になります。

ちなみに、世界最大級のコンテナ船は20フィートコンテナを約20,000個積載することができます。

 

図の出典 : CSNAL DE PANAMA

参照   : パナマ運河100年 後編

 

貿易コンサルタント 木村徹