B/Lの危機 前編

「船荷証券」を英語で書くと「Bill of Lading」ですが、通常「B/L」と記載され、

「ビー・エル」と呼ばれています。これは、海上貨物の運送になくてはならない貨物受領証です。

証券という名称からも分かる通り有価証券としての性格を持っているため、

B/L自体を売買することができ、

B/Lの裏面に新しいオーナーの名前を書くことでB/L保持者が変更されます。

 

貨物受渡状としての性格は、輸入地に送られてきた輸出地発行のB/Lの原本を、

輸入者が輸入地の船会社に提出することで貨物を引き取ることができるというものです。

ところが、アジア-日本間の航路ではB/Lよりも船のほうが

先に日本に到着する場合があります。

このような場合、貨物が到着しているのにB/Lがないために

それを引き取ることができないという現象が生じます。これを「B/Lクライシス」と言います。

こうした事態を避けるため、SWB(Sea Waybill)やサレンダー(Surrender)があります。

 

SWB

SWBはB/Lに類似している書類であり、B/Lの代わりに発行されます。

しかし、証券としての性格を持っていないため裏書譲渡することはできません。

 

サレンダー

一方サレンダーとは行為のことを指しています。

よく、サレンダーB/Lと言う人がいますが、

そういう名称のB/Lが存在するわけではありません。

サレンダーとは元地回収という意味であり、

輸出地の船会社が発行したB/Lに輸出者が裏書して船会社に戻すと、

輸入地ではB/L原本がなくても貨物が受け取れるという制度です。

輸出者・輸入者の手元には、各々のコピーが残るだけです。

つまり、船積した証拠である貨物受渡状が手元に残らないので、

L/C(Letter of Credit)の担保にすることはできません。

 

参照   : B/Lの危機 後編

 

貿易コンサルタント 木村徹