例を挙げてみましょう。
豚肉の輸入CIF価格 | 関税額 | 合計額 |
500円/Kg | 0円 | 500円 |
400円/Kg | 100円 | 500円 |
300円/Kg | 200円 | 500円 |
520円/Kg | 21円 | 521円 |
(関税率4%) |
※ CIF価格とは、税関に輸入申告する際の価格です。
これらから分かるように、輸入価格が違っていても
輸入価格と関税額の合計額は一定額までは同じなのです。
ちなみに、『CIF価格+関税額』にマージンを加えた価格が卸値になります。
この表の場合、CIF価格が500円/Kgの場合が一番関税額が安くなります。
つまり、本来300円/Kgの豚肉であっても500円/Kgで輸入すれば、
関税額が低くなるというからくりのため、
ほ脱を考える豚肉輸入業者は輸入価格を高くするのです。
そして、その差額の200円は何らかの形で輸入者に戻すのです。
この関税制度があるため、国内の養豚業者は国内市場で
輸入豚肉と価格競争をすることが出来ます。
豚肉に安い関税率が適用されるようになれば、安い豚肉が輸入され消費者は喜ぶことでしょう。
しかし、長期的に見るとどうでしょうか。
2015年の世界人口は73億人ですが
15年後の2050年には96億人になると予測されています。
今後35年間で1.3倍になるのです。
すると、世界規模で食糧品の需要が増え、価格も今よりも高くなるでしょう。
つまり、これから10年後、15年後の輸入食糧品は手に入りにくくなり、
価格は高くなると思われるのです。
そのときに、日本国内における水畜産物の生産量が少なければ、
食べるものがなくなってしまいます。
ですから、日本の水畜産業や農業をいかにして守るかも考えなければなりません。
ちなみに、平成26年4月1日から平成27年1月31日までの
10ヶ月間に輸入された豚肉は63万4871トン、生きている豚は22トンでした。
参照 : 脱税 前編
貿易コンサルタント 木村徹