中国で物流事業を行うことは難しいのか 前編

中国での日系企業拠点数は約32,000ヶ所であり、

在留邦人数は約13万5千人にも及ぶそうです(含む、香港、マカオ)。

 

ちなみに、在留邦人が一番多いのは米国で約41万人です(7,200拠点)。

 

中国の人件費上昇や日中関係を考えた上で、

生産拠点を中国からベトナムやミャンマーへ移している企業も出てきていますが、

鉱工業製品の製造はまだまだ中国無くして考えることが出来ません。

読者の皆様の中にもすでに中国に進出している企業があると思います。

また、中国国内の内需拡大を商機として捉え、

これから進出を考えている企業もあることでしょう。

 

そこで、中国で物流事業を行う際の注意点と、日本との違いを見てみたいと思います。

 

複雑な法制度

中国国内の法律は分かりにくいという声を良く聞きます。

それは、日本とは違い、法律の解釈や運用が地方政府ごとに異なっているケースが多いからです。

 

でもこれは日本と比較するからであり、

例えば、米国では州ごとに異なった法制度が存在しています。

このように考えると、日本のほうが特殊だというような見方も出来るのではないでしょうか。

しかし、日本の法制度も実は地方公共団体毎に条例で違っている場合があります。

中国加工区

どんな法制度に違いがあるのか

法人の設立や、支店を開設する際の手続きが地域によって違う場合があります。

それどころか、支店を開設しようとするとき、その地域を管轄する地方政府がこれを認めず、

新法人として設立するよう要求される場合があるそうです。

 

これは、法人税の徴収が本社所在地で行われるため、

支店では地方政府の税収増につながらないためです。

 

ですから、本社を移動させる際に、本社が所在している地方政府が難色を示す場合があるのです。

 

また、工場内物流における労働契約が請負なのか派遣なのかといった細部について、

関係当局ごとに意見が整理されていない場合や、解釈が違う場合があります。

これは、基本的な政策は中央政府によって決められているが、

具体的な運用は地方政府に委任されるのが通例だからです。

 

参照   : 中国で物流事業を行うことは難しいのか 後編

 

貿易コンサルタント 木村徹