事業種類別の外資規制
現在、物流事業に対して図1のような外資規制があります。
図1 「事業種類別の外資規制の内容」
事 業 | 外 資 規 制 |
鉄道 | 独資不可、中国側資本51%以上の中外合資、中外合作企業のみ可 |
航空 | 独資不可、中国側資本75%以上の中外合資、中外合作企業のみ可 |
航空フォワーダー | 独資不可、中国側資本50%以上の中外合資、中外合作企業のみ可但し、CEPAの利用により100%独資可 |
これらの内容を日本と比較してみると、日本とあまり違いがないことが分かります。
例えば、信書の配達については、古くから郵政の独占事業であり、
ヤマト運輸が何度もその壁を破ろうと努力してきました。
国は、平成14年に「民間事業者による信書の送達に関する法律」を制定することで
民間が信書配達を行うことが出来るような法制度を設けましたが、
あまりにも参入ハードルが高く、実質的に民間が参入することが出来ない要件であるため、
日本郵政株式会社の独占事業になっています。
中国でも外国企業による信書の配送は不可でしたが、昨年9月に規制が解除されました。
また日本では、外国人による議決権が三分の一以上を占める航空運送事業者は
航空機を登録することができないとしています。
つまり、航空事業を認めないということです。
保税制度
中国の保税地域は、自由貿易試験区、監管保税倉庫、
保税物流中心、保税工場、保税区、輸出加工区、保税物流園区、
保税港区、総合保税区と多岐に分かれており、
国務院、商務部、税関総署、地方政府等に所管されています。
一方、日本の保税地域は、指定保税地域、保税蔵地場、
保税工場、保税展示場、総合保税地域の5つに分類されており、
その手続きは、財務大臣の指定と税関長の許可に分かれています。
制度だけを見ると日本とそれほど違いません。
このように見てみると日本とそれほど大きな違いは見られませんが、
国が違えば制度だけでなく、考え方が違う、運用が違う、言語が違うというように、
基本的な事項が違うので、進出する際は慎重を期さなければなりません。
貿易コンサルタント 木村徹