NACCSとは、税関へ輸出入申告を行うコンピュータシステムのことです。
その歴史は古く、1978年8月に航空貨物の輸入システムとして稼働しました。
その後、1991年に海上貨物の通関でも使用されることになり現在に至っています。
つまり、約40年もの歴史と経験があるシステムなのです。
NACCSでは、国のデータをはじめ、
税金情報や企業の機微な情報を扱っているということで
十分なセキュリティ対策が取られています。
今後は平成29年10月を目途として、より広範囲に、
そして使いやすいものへと更改され進化していくことになっています。
ここまでは日本での動きですが、NACCSの世界での位置づけはどうなのかというと、
世界に輸出されてグローバルスタンダード化されつつあるのです。その第一弾がベトナムです。
ベトナムでは日本のNACCSを導入し、
VNACCSとして2014年4月に本格稼働が始まりました。
ベトナムでは輸出入量が年率10%を超える伸びを見せており、
今後の輸出入量の著しい増大に対応するために、
NACCSを導入して貿易手続きや通関に関連する行政手続きを
迅速化・効率化する必要があったからです。
利用者はベトナム税関をはじめとする行政機関や、貿易手続き・通関に関連する民間企業です。
ここで気になることがあります。ベトナムはVNACCS設置にいくら支払っているのだろうか、
そして、誰がこのシステムを作っているのだろうか、何故NACCSを導入すると決めたのかということです。
まず一つ目の答えは、『ベトナムは一円も払っていない』です。
それは、日本政府が構想しているアジア諸国と日本のシームレスな物流の実現を目標とする
「アジア・カーゴ・ハイウェイ」のために、
日本からの「無償資金協力」で導入しているからです。
つまり、皆さんが納めている税金でVNACCSが設置されたのです。
その額はなんと26億6,100万円。
その他に、税関の職員がVNACCS構築のために何人も現地に赴き導入支援を行っています。
その費用は上記の額に含まれていないので、
実際にはこれ以上の税金がつぎ込まれていることになります。
参照 : 「NACCS」の進化と、海外で使われている皆さんの税金 後編
貿易コンサルタント 木村徹