「NACCS」の進化と、海外で使われている皆さんの税金 後編

そして2つ目の疑問である誰が作っているかについては『(株)NTTデータ』がその答えです。

 

第3の疑問である何故NACCSを導入するかは、簡単でしょう。

『無料でこれだけのシステムを導入することができ、

かつ、無料で手厚い導入支援も行ってもらえる』ならば導入を決めない理由はありません。

 

このNACCSの海外導入拡大はこれだけではありません。

民主化が進むミャンマーでも導入することが決まり、

JICA(国際協力機構)とミャンマー連邦共和国政府の間で

2014年4月25日に贈与契約が締結されました。

 

当然、日本からの「無償資金協力」です。

その額は、ベトナムの約1.5倍である39億9,000万円です。

 

無償資金協力先 無償資金協力額
ベトナム 26億6,100万円
ミャンマー 39億9,000万円

 

このシステムの名称はMACCSと決まり、

2016年10月完成に向けて開発が行われています。

MACCSはヤンゴン地区へ導入されます。

その後、その他の地区にも導入する際には更なる無償資金協力があるのかもしれません。

 

ODAという名の無償資金援助では、

ハコモノと言われる橋やダムを造るといった例がありますが、

せっかく作ってもあまり使われず放置されているという状態が世界中で散見されます。

しかし、税関用のシステムは導入後もその国で活用していかなければ

国の行政が止まってしまうため、使わざるを得ないということから、

 

ハコモノと比較すると意味のある無償資金援助ではないかと考えることもできます。

また、今後、日本とベトナムとミャンマーは同一のシステムで繋げることができるため、

貿易のペーパーレス化にもなることでしょう。

 

RCEPが施行された以降は、アジアの他の国々でも導入されるかもしれません。

その際には、日本発の通関システムがグローバルスタンダードとなることも考えられます。

そして、NTTデータが活躍することでしょう。

 

参照   : 「NACCS」の進化と、海外で使われている皆さんの税金 前編

 

貿易コンサルタント 木村徹