インコタームズの使い方がおかしい 前編

『インコタームズは』

貿易取引や国際物流を行っている人なら

知らない人はいないと言えるくらい、

世界中で使われている貿易取引のルールです。

「インコタームズ」という言葉を知らなくても、

その中で取り決められている貿易取引条件の一部である

「FOB」とか「CIF」という言葉は

聞いたことがある人もいることと思います。

 

また、貿易取引の際には必ずインコタームズを使用しなければならないと

思っている人も多いようです。

つまり、それだけ世界中で浸透しているのですが、

このインコタームズは条約や法律ではなく「ルール」であることから、

貿易取引に使用することについて強制力はありません。

 

このインコタームズは約10年に一度見直されており、

一番新しいバージョンは

2011年1月1日に施行された2010年版です。

その前は2000年版、そしてその前は1990年版になります。

 

『さて、何が「おかしい」のか』というと、

未だに多くの取引条件でFOBやCIFが使われていることなのです。

2010年版インコタームズでは、

これらFOBやCIFをコンテナ貨物の輸送で使用するのは不適切である

と言っているにも関わらず、多くの企業でFOB、CFR、CIFが

当たり前のように使われています。

 

恐らく、これを読んでいただいている貿易に携わっている読者の方のうち、

ほとんどの方が、『今まで問題なく使えている』、

『これからも使い続けるつもりだ』と言うことでしょう。

また、『これら3つの条件を使わないとしたらどうするんだ』

という方もいることでしょう。

この方たちはコンテナ貨物輸送の際には、

これら3つの取引条件の代わりに

FCA、CPT、CIPを使うようになったことを

知っていただきたいと思います。

 

貿易コンサルタント 木村徹