港湾地区の保管機能 前編

港湾地区とは

港湾地区は、臨港地区とも言われており、

港湾の管理運営を行うために必要な地区を指す言葉です。

 

東京港の臨港地区の場合、都知事が国土交通大臣の同意を得て指定しており、

取り扱う貨物等の種類に応じて、商港区、特殊物資港区、工業港区、漁港区、

保安港区、マリーナ港区、修景更生港区の7つに分区されています。

 

また、横浜市では、商港区、工業港区、マリーナ港区、修景厚生港区の4つに分区されています。

 

港湾地区の倉庫機能

この地区にある保管施設の主なものは保税倉庫と言われるものであり、

この倉庫の中にはこれから輸出される貨物や外国から日本に到着した貨物で

輸入通関前のものが蔵置されています。

 

これらの貨物は税関の監督下にあるため、貨物のオーナーであっても勝手に触ったり、

箱を開けたり、ましてや使用してはなりません。

 

例えば、輸入貨物の場合は輸入通関申告を行い、

輸入許可を得て初めて、市場に流通させることが出来るのです。

 

輸入許可前に消費してしまうと、脱税若しくは密輸入になってしまいます。

港湾地区とは、このような特殊な位置づけの貨物が蔵置されている場所です。

 

保税地域の種類

保税地域には5種類あります。「指定保税地域」、「保税地域」、

「保税蔵置場」、「保税工場」、「保税展示場」、そして「総合保税地域」です。

 

これらの地域や場所は、財務大臣の指定や、税関長の許可が必要であったりします。

 

コンテナヤード

船による国際輸送の主力は海上コンテナ船によるものですが、

このコンテナ船が接岸している場所がCYと言われるコンテナヤードであり、

そこは財務大臣により指定保税地域として指定されています。

 

ちなみに、このCYの所有者や管理者は、国、都道府県、市等です。

実際にCYを運営しているのは民間企業ですが、

これらの企業は都道府県等からCYを借り受けて運営を行っているのです。

 

CYには原則1ヶ月しか貨物を蔵置してはならないとされています。

 

つまり、保管機能というよりも貨物通過機能を有した施設であると言えます。

 

国際物流に馴染みがない方には一体どのような場所なのか見当がつかないかもしれませんが、

東京港、横浜港の主要港はもちろん地方港においても

写真のようなガントリークレーンを見ることが出来ます。この場所がCYです。

ガントリークレーン

 

 

 

 

 

 

 

 

 

貿易コンサルタント 木村徹