欧州で倉庫を設置するにはどこが最適か 前編

立地

EUで物流センターを設けることになったら、場所はどこにすべきか。

一番良いのは市場に近い場所です。

 

例えば、英国ならロンドン近郊、フランスならパリ近郊になりますが、

EU全域が市場であるとしても、

各国に倉庫を設けるのはコスト的に良いとは言えません。

 

日本の全都道府県でまんべんなく売れる商品であっても

物流センターを47個所設けないのと同じ理屈です。

 

では、どこに設けるべきでしょうか、EUの地図を見てみると

真ん中はフランスの北東部近郊であることが分かります。

 

しかし、商品を日本やアジアから輸入することを考えると、

海に隣接した、コンテナ船が寄港する港の近くが良いでしょう。

 

EUの港

フランスの北東部に近い港はどこであるか見てみると、

フランスのルアーブル港、英国のサザンプトン港、若しくはフェリックストー港、

ベルギーのアントワープ港、オランダのロッテルダム港を挙げることが出来ます。

 

これらの港はどれもEU域内の主要港であり、

日本やアジア圏内からの西航の船が必ず寄港しますから、

港としての利便性はどこであっても遜色ありませんが、

英国は島国であるため、英国向けの販売が主力でなければ

物流センター設置の検討から外すのが定石と言えるでしょう。

 

すると、消去法からフランス、ベルギー、オランダの

いずれかが適切であることが容易に分かります。

 

これらの港の規模を一応見てみましょう。

順位ではロッテルダム港が一番大きいと言えます。

 

ルアーブル港は世界の上位30位以内に入っていません。

 

また、英国の2つの主要港もランクインしていません。

 

しかし、先に挙げた港はどれもEU域内の主要港であるため、

条件は同じであると言えます。

 

2014年 港湾別コンテナ取扱数順位表(抜粋)

順位

港湾名

取扱数

(百万TEU)

上海

35.29

11

ロッテルダム

12.30

15

ハンブルク

9.73

16

アントワープ

8.98

28

東京

5.00

48

横浜

2.89

注)輸出入の合計、実入りコンテナと空コンテナの合計、トランシップコンテナを含む。

データ:国交省のデータを筆者加工

 

世界最大のコンテナ船は20フィートコンテナ(TEU)を

約20,000個積載することが出来ます。

20フィートコンテナの底面積は約13.2平米ですから、

底面積だけで考えると、これは、3LDK(70平米)の家

約3,800軒分の面積になります。

 

貿易コンサルタント 木村徹